低路線価(5万~10万/㎡以下)で1000㎡を超える平たん地(自宅敷地含む)のケース
傾斜のある大規模な土地や道路との高低差のある土地などは、前回鑑定評価の有効性を述べました。
しかし、平たんな土地でも路線価が相対的に低い地域や、面積・地形・道路との関係などの複層的な要因によっては通達上の「地積規模の大きな宅地」より評価が下がることがあることに注意が必要です。
特に路線価が5万円/㎡程度にある大規模地は、平たんでもその造成費と有効宅地化率により、鑑定評価を採用することで減額効果が見込めます。具体例で説明します。
○○県A市(首都圏)
街路条件 : 西3m、南4m道路に面する角地
画地条件 : ほぼ平坦な宅地(現況は自宅敷地として利用)
用途地域 : 第1種住居地域(60/200)
面 積 : 3,500㎡
路線価評価 : 約108,000,000円
※この評価のポイントは自宅敷地つまり宅地なので、通達上の評価では造成工事費の控除は不可になります。
しかし、この大きな土地を買う人は誰でしょうか。
鑑定評価ではこれを「市場参加者」と定義します。一般人が、自分のマイホーム用にこの土地を買うことはほぼありません。99%の確率で不動産開発業者が買うことになります。そして、エンドユーザ―向けに区画割り(細分化)して建売として売ることになります。通達でも、それを予定して「地積規模の大きな宅地」に認めています。これの規模格差補正率は0.73になります。つまり、正面路線価の27%引きになります。
しかし、この土地を開発する時には新設道路を築造し、区画するための造成工事費が必要になります。単なる規模格差補正だけでは足りません。
弊社では、この造成工事費を外部設計事務所の報告書を参考に、1㎡あたり約22,000円と査定しました。それらの要因を考慮した結果、約60,000,000円の鑑定評価額と決定しました。その差額は約4,800万円です。 後日談ですが、本鑑定評価は是認されました。
Let‘s Try 東京アプレイザル 土地評価実力判定テスト
Q14 神奈川県横須賀市に所在する5,000㎡の傾斜度約20度の山林がある。
第一種低層住居専用地域、建ぺい率40%、容積率80%である。正面路線価は100,000円/㎡である。
通達による路線価評価により、地積規模の大きな宅地を採用して申告した。
★YouTubeはじめました!チャンネル登録お願いします。
不動産鑑定士《芳賀則人の言いたい放題》 (別リンクに飛びます。)