どこの世界にも技量において上手い下手の差はあります。

芸能の世界では「大根役者」などといわれています。大根は白いので「素人」(しろうと。つまりプロではない)にかけているというのが通説だそうです。その反対に「千両役者」と呼ばれる人々は、千両稼げる人気アーティストといったところでしょうか。

芸能ではありませんが、かつての「巨人・大鵬・玉子焼き」の時代は、まさに王・長嶋・大鵬が千両役者の名に恥じない活躍ぶりでありました。

では、私が所属する士業界ではどうでしょうか。弁護士・税理士・公認会計士・不動産鑑定士等々。これらは同じ資格者なのだから、それほど違いはないというのが一般的な見方です。ところが豈図らんや、見事なまでに違いが出るのです。

ここで他士業を論じても意味がないので、不動産鑑定士に絞ることにします。

よくいわれるのは、司法書士、土地家屋調査士、行政書士などは、基本的には手続き代行業務の色彩が濃いのですが、不動産鑑定士は当該不動産が複雑(地形・高低差・面積等々)であればあるほど、人によって評価額がかなり違うことが指摘されてきたことは事実です。

何故でしょうか。

それは、不動産鑑定士のそれまでの実績・経験値・マーケット分析及び情報集能力などの技量差が顕著に表れるからです。

最近もこんな事案がありました。

東京近郊のⅩ市の約3900㎡の自宅敷地の鑑定評価です。最有効使用は、駅距離や容積率等を考慮して中高層マンション用地と判定。

鑑定の目的は、兄弟間の相続分割協議上の時価査定です。

自宅には兄が住んでおり、兄がこの土地を相続することになったのですが、弟から、「評価の基本は路線価評価ではなく時価なので、鑑定評価を採用すべきだ」と意見がありました。

すでに、双方共に弁護士がついており、兄側の不動産鑑定士と弟側(当社)の不動産鑑定士が任命され、鑑定書を提示することになったのであります。

ざっくりいって下記の評価となりました。

相続税評価額   約 7億5000万円   (これで相続税の申告をした)

兄側鑑定評価   約 7億3000万円

弟側鑑定評価   約14億5000万円

 ※両方の鑑定書とも、対象不動産はマンション用地として、大手マンションデベロッパーが需要者との判断でした。

さて、大根役者がどちらかはいうまでもありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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