【 地価も格差社会を反映する 】~富裕層の物件探しを通して感じること~
富裕層をパソコンで変換を間違うと不要層・あるいは不用層となります。(冗談はともかく)富裕層の自宅用土地への執着は尋常ではありません。その多くは港区か渋谷区、少し妥協して目黒区・世田谷区がその対象になります。たまに物好きが?いて、我が練馬区の石神井公園池そばの邸宅地が対象になります。かつては「田園調布に家が建つ」というギャグで、セント・ルイスという漫才コンビが一世風靡した時代は、まさに田園調布が成功者の証たる住宅地でした。それに匹敵するのが成城学園でした。田園調布は長嶋茂雄氏、中内功氏、鳩山由紀夫氏、成城学園は石原裕次郎氏、三船敏夫氏らの超有名人が住んでいた(いる)ことはあまりにも有名です。
実は、これが格差の始まりです。知らず知らずのうちに富める者の証が田園調布でした。しかし、この構図は10数年ほど前から崩れつつあります。やはり都心部への距離がやや遠いためです。いわゆる若手(40歳代及びそれ以下の年代)の成功者は、渋谷区・港区にその住居を求めるのがステータスの証のようです。職住接近に拘るのと、以前と最も違うのは、土地付き一戸建てに拘らない生活スタイルです。圧倒的に高額(高級)マンションへの居住が増えています。特に芸能人等の有名人はプライバシーが守られるマンションに優位性があるからでしょう。
実は、現在日本一高いといわれる区分所有マンションが建築中です。一住戸が67億円(坪当たり3,500万円)というとてつもない高額マンションです。とはいえ、超富裕層(純資産100億円以上、メガ富裕層は1,000億円以上とする)は、戸建て超豪邸への拘りが残っています。
リーマンショック以降で、株式・FX・仮想通貨・不動産・IPO等で莫大な利益を稼いだ人々はコロナ以降、不動産の流動化(今まで市場に出ることがないような物件が出ること)が激しくなるにつれ、その資金力にものを言わせて買いに回りつつあります。例を挙げるとS区〇〇町1,000㎡の土地(路線価評価約10億円)の売り希望価格は、路線価の約3倍の30億円で出ています。これを買おうと検討している人がいるのが驚きです。その上に20億円の自宅を建てるという構想です。当然、融資は使いません。自己資金です。このような手合い?が何人もいることです。
住宅ローンを3,000万円~5,000万円を35年借りて5,000万円のマンションを買うというサラリーマン層とはまるで別世界の人々です。もちろんこれらはさすがに少数ですが、これに次ぐ資産10億円規模の人々も相当数いるはずです。それらの人々にとって、地価公示や路線価は全く関係ありません。とは言っても、相続人から見ると路線価と時価との評価差が節税になるとの観点が重要です。仮に現金を100億円持っているとしたら、それに掛かる相続税は約55億円になります。ところが、それを100億円の不動産に代えると、路線価評価(仮に50億円とする)になるので、一気に相続税は半分になります。ただし、この路線価50億円の時価が100億円であることが重要です。
「そんなケチなことは言いなさんな、相続税なんか残った者の話で死んで行く俺にとっては関係のない話だ」と言う人も世の中にいます。最高税率55%であっても約半分は残ります。それよりも世のため人のために100億円使いきってしまうのはどうでしょうか。格差社会を少しでも軽減するためにこんな豪の者もいて欲しいものです。佐藤琢磨氏(元F1レーサー)のお父さんの佐藤和利さん(故人・弁護士)は「子供には何も残さず逝きなさい」という著書を残しました。
遅まきながら、昨日「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」無限列車編を観ました。煉獄杏寿郎という鬼殺隊の柱という人物の母親の教えです。
「強い者は弱い者を助けるために存在する」
「強い者が弱い者を切り捨てる」どこかの政府の人々に聞かせてやりたいセリフであります。