3月といえば土地評価の専門家である不動産鑑定士にとって何かと心が躍る季節であります。

一般的には税理士と違い確定申告業務がない分比較的ヒマであるものの、3月25日頃に発表される地価公示価格の発表が待ち遠しい?感覚になります。この地価公示の評価を請け負っているのが全国で約3,200人の不動産鑑定士です(私も平成25年まで30年間この業務をやっていました)。

この評価額が国税庁所管の路線価(7月1日発表)に完全にリンクし(80%程度)、なおかつ今年は固定資産税の3年に一度の評価替えの年でもあります。

この公示価格こそが、あらゆる不動産税(相続税・贈与税・固定資産税・不動産取得税・登録免許税等)の根幹になるわけです(私は個人的には公的評価の親分と言っています。なので、偉いのです)。特に3大都市圏の高度商業地の固定資産税は大幅な上昇になることがほぼ決まっています。よって、余計なお世話ですがビルオーナーはそれなりの家賃値上げや何らかの対策が急務だと思います(ちなみに当社が借りているビルの家賃値上げ請求で役員は大変です)。

公示価格はその年の1月1日時点です。この評価にあたり取引事例というのを収集・選択して鑑定評価を行うのです。その事例はほとんど前年の10月以前位のものを使用します。つまりコロナウイルス問題は1月末ぐらいからの大事件ですので、まったく言っていいほどコロナ問題を反映していない価格となるわけです。これは仕方がないというしかありませんね。

しかし、この1ヶ月の不動産の販売状況(2月~3月)はかなり悲惨な状況になっている可能性があります。それは、すでに昨年秋口からの建売の販売状況がかなり悪化しており各社在庫処分に苦労しているとの情報が洩れ伝わっているからです。新築マンションも郊外型はかなり苦戦しています。売れ行きが悪くなった理由は簡単です。高くし過ぎたツケです。みんなで調子に乗って高くしてしまったからです。

さらに投資用収益物件の価格です。これはプロ市場ですのでもっと敏感です。利回りの上昇が起こります。下げ続けていた利回りが完全に逆になります。ざっくり言うと利回りが5%から6%に1%上がると価格は17%下がります。株のような投げ売りはないにしても、投資家心理は厳しいと思います。

このように、ただでさえ厳しい状況下です。それにコロナが追い打ちをかませてきた感じです。これを書いている時点の株価ですが、日経平均が21,142円です。1月17日の終値が24,115円ですので、1ヶ月の下落率が12%です。なお、1週間の下げ幅が2,243円とリーマンショック以来の大きさです。

再度、言います。地価公示は現在の不動産市況ではありません。1月1日です。場合によっては4月1日に時点修正して再評価もありかなという非常(異常)事態です(それは無理かもしれません)。弊社でも難しい舵取りが続きます。コロナウイルスの早い終息を心より祈ります。

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今回はお休みします。

【前回Q2の答え】  「誤り」

<解説> 

当該地域の価格水準であれば、間口-7~-10%、不整形-10%と判断するので90点(90%)以上の価値率はないと判断する。この価値率は概ね80~85点となるのが通常である。

 

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