• 良いプロ(専門家)、悪いプロ(専門家)の見分け方

  • 人は皆、認められたい。褒められたいと思っている

久々に相続・不動産・税務・建築などの専門家的な話題を少し離れ、人としてのあり様を考えたいと思います。私の独断的な論評ですので、ちょっと違うなと思われても気にせず、気軽にティータイムのお供に読んで頂ければ幸いです(お代は頂いておりませんし)。

・良いプロ(専門家)、悪いプロ(専門家)の見分け方
 世の中の各業界にはプロと称する専門家が大勢います。私も同族会社間での不動産の売買時にその時価を出す、あるいは相続税の申告に広大地の意見書を出すなどのプロ(専門家)の1人です(一応)。幣社に鑑定依頼してくれる方は税理士・弁護士・不動産業者の方々つまりプロです。プロがプロに頼む仕組みをB(ビジネス)to B(ビジネス)といいます。
 不動産鑑定士という社会的認知度の低い専門士業はエンドユーザー(消費者)から直接仕事を受注することはとても難しいのです。HPを煌びやかに作り、パンフレットをばら撒き、セミナー講師を務めて、お客様の目に留まるように網を張っていても、なかなか引っかかってくれないのが実情です。この消費者と直接取引することをB to C(コンシューマー、消費者)といいます。本来は誰もが望む取引形態ですが、何せ、世の中に知られていない分、誰かの紹介がないとお仕事を請けることが出来ないのが多くの専門士業の悩めるところです。なので、幣社は多くの税理士事務所さんとの業務提携契約で糊口を凌いでいます。もちろん昨今はHPから直接依頼が来ることが増えました。とは言え圧倒的にプロからの紹介が多いのも事実です。
 ここで気付いて頂きたいのはプロがプロを指名(推薦)する仕組みと消費者(C)がプロを指名する仕組みと大きく分けて2つあるということです。但し、前者といえどもお金を出す人はCなのです。最終的にはCがその仕事にふさわしいプロなのか判断します(もちろんお任せの人もいますが)。ここで、誰を指名するのか、あるいは指名される存在になれるのかです。芸者の世界ではこのことを「お座敷がかかる」と言うそうです。銀座では「指名」されるというのでしょうか。私は行ったことが無いので耳学問です。いずれにしても、良いプロにならなければ話になりません。では良いプロの条件は何でしょうか。

私の35年間の不動産鑑定士生活の上での基準ですので話し半分程度でお聞き下さい。

1(初期対応)
  入り口を低くする。敷居が高いと相談しに来ない。メールや電話での初期対応がとても重要。

2(無料相談)
  基本的に相談料は頂かない(どうしても払いたいという人もいるのでその時はもらう)。優しい態度でとにかく親身に
  聞いてあげる。ほぼ人生相談になるが厭わない。

3(仕事成約の確率)
  仕事に成るか成らないかの値踏みをあまりしない。結果的に一銭にならなくても経験として残る。次も先生に相談する
  といってくれるだけでも良い。何事も我慢が大切。こうすれば人は感謝してくれる。神様はそれを見ている(やはり神
  様・仏様か)。

4(お金の問題)
  報酬はボラない。節度を保つ。上品さが重要。初めに見積書を出し約束は守る。儲かるというのは信じる者と書く。

5(実績・誇り)
  自分の仕事内容に正確さや自信があることを表明する場や機会を作り発表する。やはり実績が重要である。次々に仕事
  を得るためのコツは世の中にどれだけ役に立っているかを訴える必要がある。

6(リスクとトラブル)
  相手の立場を尊重するも様々なリスクがあることを説明する。但しトラブルが起こったときが最も重要。逃げずに狼狽
  せずに真摯に対応する。今回のくい打ちマンション問題は業者それぞれの大いなる学習機会でもある。トラブル処理の
  仕方によっては逆に大きな信頼を得るチャンスである。

7(仕事を発注する立場になったとき)
  仕事を出してやっているという高圧的態度は止める。お互い様なのでいわゆる協力業者さんは大事にする。自分がいつ
  かその人から仕事をいただける立場になるかも知れないし。どこかで世話になるかもしれないので。協力してありがと
  う・・・といえば良い関係が永続する。このときが最も人間性が出るし問われる。強い者こそ優しくあれ。この反対が
  パワハラ。

8(矜持を保つ)
  お得意さんだからと言ってあまり阿らない。間違っていることや、不条理なことをいう方もいるので気をつける(最近
  も脱税幇助や後見人のお金をパクった専門家が捕まった)。これで報酬や取引関係が無くなることを恐れない。鑑定士
  の世界では不当鑑定と言って過大な評価をやって鑑定士の資格を失った人が何人もいる。ウソやずるは小さい積み重ね
  が大きくなり何とも思わない人になる。これが危ない。

9(専門家として不断の勉強)
  自分の守備範囲といえども社会はどんどん変化する。税法、民法、信託建築など、新しい知識を仕入れないと世の中の
  変化に対応出来ない。お客様にも迷惑。それと専門以外の勉強も重要。過去の栄光では飯は食えない。貪欲に学習機会
  を作るべき。

10(感謝の気持ち)
  今、生きていることに感謝する。仕事をやれる喜び、ありがたさを皆で共有する。同僚、社員、友人、家族(両親、奥
  さん、旦那、子ども)みんなありがとう。

何とか10個たどり着きました。お付き合いありがとうございます。
冒頭のお題の「人は誰もが認められたい・・・・」はページ数が多くなるので次号にしました。お楽しみに(と言っても楽しみにしてくれていないか)。

最後に、お読みいただいた方々へ・・・お金持ちの旦那衆から今夜も「お座敷がかかる」ことをお祈りします。