所在地 | ◯◯区 |
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画地 | 南側幅員5m区道に間口10m、西側幅員4m行き止まり私道(位置指定道路) に間口30m面する長方形状の角画地 |
面積 | 300m² |
用途地域 | 近隣商業地域(建ぺい率:80% 容積率:200%) ※幅員5m区道から15m以内 第一種低層住居専用地域(建ぺい率:50% 容積率:100%) ※幅員5m区道から15m超 |
評価
(1)南側幅員5m道路に面する標準的画地価格(画地規模100m²)
近隣商業地の取引事例等から、1m²当たり400,000円と査定しました。
(2)西側幅員4m位置指定道路に面する標準的画地価格(画地規模120m²)
戸建住宅地の取引事例等から、1m²当たり265,000円と査定しました。
(3)分割後の画地A・Bの単価
1.画地A
400,000円/m²×(1+3%(注))=412,000円/m²
※注:角地で優る +3%
2.画地B
265,000円/m²×(1±0%(注))=265,000円/m²
※注:標準と判断
(4) (3)で求めた分割後の画地A・Bの単価比に基づき、両画地の価格が等しくなるように全体敷地面積(300m²)を按分しました。 画地Aの面積をXm²とする。
412,000円/m²× Xm = 265,000円/m²×(300-X)m²
∴ X ≒ 118m²
(5)分割後の画地A・Bの単価
1.画地A
412,000円/m²×118m²= 48,600,000円
2.画地B
265,000円/m²×(300-118)m²= 48,200,000円
解説
二方路に面する土地(角画地)を親族間で平等に分割する場合の評価です。地域性・行政的条件から、主として南側道路に面する土地は店舗付共同住宅、また、西側道路に面する土地は低層戸建住宅が最有効使用と判断しました。
評価に当たっては、それぞれの道路に面する標準的画地価格をまず求め、その価格に分割後の画地の個別性を考慮させ、次に、その価格の単価比に基づき、分割する面積を査定し、分割後の2画地の価格を求めました。両者に若干の価格差が生じましたが、現金で差額を精算しました。
この評価手法は、共有物の分割、交換等においても有効です。
このような不動産の分割・交換等は、路線価等に基づき行うことも可能ですが、路線価では不動産の個別性(地域性・形状等)が反映されず、また、対象地のように分割後の土地の最有効使用が異なる場合(路線価の格差が時価に適正に反映されていない場合が多い)や分割後の不動産の時価を把握し、価格差も適正に精算したい場合には、鑑定評価で行うことが有効です。
尚、鑑定評価においては最有効使用を前提として評価を行うため、不合理な分割は避けることが出来ます。