司会: 「成功への道筋」の【エ】に「相続」という言葉が出てきましたので、芳賀先生の「相続」への関わりということをお聞きします。先ほどまでのお話にもあるとおり、相続の分野に不動産鑑定士の活路を見出し、税理士事務所との提携ということをやってこられてきたと思いますが、その他にも「相続」というテーマで活動をされていますよね。
芳賀: そうですね。不動産鑑定士はもちろんですが、その他の専門家にとっても「相続」分野は切っても切れない関係にあるなと思ったのです。というよりも、そういう関係であるべきだと思ったのです。そこで、平成12年3月に相続アドバイザー協議会という団体を立ち上げ平成15年9月にはNPO法人の許可をいただきました。
司会: その協議会の設立の目的は何ですか?
芳賀: 理念・目的は、相続で悩んでいる、困っているというお客様のために身近で気軽に相談することが出来る専門家(人材)を養成することです。
司会: 様々な士業の方が集い、組織を作ることで、連携を取れることにもなるわけですね。
芳賀: そのとおりです。全員が全員ではないと思いますが、弁護士は土地評価と不動産実務が苦手で、税理士は不動産実務と民法が苦手で、不動産鑑定士は税法と相続法規が苦手で、司法書士は土地評価が苦手で、といったことがあります。これは、専門外の内容については苦手であるという意味ですので、当然のことだと思います。ただ、相続は専門性が多岐に亘るので、様々な知識・知恵が必要になります。そういう意味で、私はよく「相続に専門家はいない」と言っているんです。
司会: なるほど。全てをこなせる人はいないということですね。
芳賀: そうです。そこで、この協議会で色々な勉強をすることで、士業間の溝を埋めてもらおうということになります。その上で、気付いてほしいのは、「細かい部分は、そこを専門としている方に任せるべき」ということですね。
司会: 相続の相談があった場合にも、「これはあの人に頼めばいいんだ」と思えることが重要ということですね。
芳賀: そうです。つまり、重要なのは「ノウハウよりもノウフ―」ということです。
司会: 誰を知っているかが重要ということですね。
芳賀: また、相続というのは、「民法がこうだから」とか「税法がこうだから」といったことだけではなくて、人情や心の部分についての配慮が非常に大きいウェートを占めると常々思っているのです。ところが、専門家は、その部分を蔑ろにしてしまいがちなんですよね。この部分の配慮があってから、その専門的知識を活用してほしいですね。
司会: 確かに、心情に配慮しないで、専門的な話ばかりされてしまうと、信頼感に欠けてしまうかもしれないですよね。