所在地 東京都F市
面積 土地800m²(大規模な無道路地)
用途地域 第1種住居専用地域(建ぺい率:40% 容積率:80%)
価格時点 平成7年

ポイント

道路に面していない土地(無道路地)は建物の建築等ができず、通常、道路に面している土地に比べ、大きな減価が予想されます。さらに、この場合、建築基準法上の道路に接面していないため開発行為もできません。そのため、道路に接面するために隣地を買収することを想定して評価をすすめます。

評価

造成後の標準的画地価格を378,000円/m²と査定(隣地が買収でき、接道条件を充たした場合)ただし、この価格は幅員15m道路に面していることを前提としたものではなく、幅員6m程度の道路に面した一般住宅としての標準的画地をとります。次に、戸建住宅の分譲を想定して、接道条件を充たした場合の対象地の土地価格を求め、最後にその価格から隣地買収費用を控除して鑑定評価額を決定します。

解説

この実例の特徴は、無道路地であるということです。市場では、このような土地は価値がなく、あまり相手にされないものです。開発者の事業リスクが大きいからです。大規模地という点だけであればエンド・ユーザーへ売る価格と造成費が把握できればリスクも小さいのですが、隣地を買収できるかどうかは相手があることですから分かりません。

また、買収部分の土地がなければ開発そのものが不可能となりますので、まず、この隣地に交渉することから始めるでしょう。ただ、相続が起きた場合の評価は無道路地であるという条件があるのですから、評価は難しいものになります。

なお、こういう物件で評価ミスを起こしやすいのは、表の幹線道路(幅員15mの道路)の路線価をそのまま裏の土地である対象不動産に適用してしまうことです。その土地の最有効使用と標準的画地の概念をしっかりと身につけておかないと、思わぬ高い評価額になってしまいます。