~ 相続コンサルは細分化の極 ~
相続土地評価業務(路線価評価及び鑑定評価)や相続に関するありとあらゆるセミナー事業を長年やってきて感ずることは、士業や業界の縦割りの世界であることが分かります。
① 相続税・申告業務・・・・税理士の独占業務
とはいえ、不動産については路線価評価(通達評価)が基本となるので、その物件調査や面積が必要なことより宅建士や土地家屋調査士が担うことがあります。
なお、路線価評価も税理士の経験の差異により、評価が異なることがあるので要注意です。さらに、条件の劣る土地(傾斜地・段差地・雑種地・大規模地・建築不可地)などは、路線価評価が過大過ぎることがあり、不動産鑑定士の鑑定評価が必要になることがあります。
ここであえて言いたいのは、路線価評価の精度です。かなりの経験を積んでいる人と、あまり手掛けていない人の能力差が著しいのです。例えば、利用区分や評価単位が正しく出来ていないことがあります。はっきり言って間違いだらけなのです。後になって「更正請求」で評価を直されるケースが後を絶ちません。これらを避けるためには評価の勉強をちゃんとするのはもちろんですが、路線価評価の専門会社や路線価に精通した税理士に依頼すべきと思います。
特に山林、雑種地、農地、宅地などが複雑に絡む地主の土地などは相当な難易度になります、まさに、評価の分業化が必要です。
② 相続税・納税業務・・・税理士の大きな役割
ですが、これを一人でやることはかなり難易度が高いのです。
つまり、不動産を多く所有する地主等は多額な相続税を納税するために、不動産を売却して納税資金を捻出する必要があります。これには「遺産分割業務」が基本となります。
揉め事がない場合は、司法書士業務になり、「遺産分割協議書」が必須となります。ただし、兄弟間でもめている時などは弁護士にお願いすることになります。最悪は家庭裁判所での調停及び審判になることもあります。
さらに不動産を売るためのアドバイスが必要になります。どの土地をどう分けてどこを売るのか。いくらで売れるのか。
ここで問題なのは、路線価評価は時価を反映していないので、これを基準に考えるのは危険です。
この局面では信頼できる不動産会社(宅建士)に売買仲介を委任するしかありません。(わざと安く売らせて、業者に儲けさせる危ない人もいるので要注意)。さらに売却する場合は、隣地との境界確定が必要になるので必ず土地家屋調査士の出番となります。
売買価格の把握が難しい場合は、不動産鑑定士による時価評価が必要になることもあります。
このように、税理士は相続税申告の主導権を握っているのは確かですが、そこに行きつくまでに様々なハードルがあります。
さて問題です。
相続人子供3人でお母さんが亡くなりました。遺言はありません。相続財産は自宅評価(路線価+固定資産税)3000万円、預貯金1500万円の計4500万円です。
自宅には10年間母親の面倒を見てきた長女63歳の夫婦がいます。他の相続人は次女60歳、次男57歳。
相続税の基礎控除は、3000万円+600万×3人=4800万円なので、相続税の申告義務はありません。
ということは、相談先は誰になりますか?
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