今年3月に亡くなった女房の相続税申告の手続きが終了しました。
私の周囲には、数多くの相続専門家が存在しますが、自分の奥さんの相続手続きや、税の申告に携われる人はそう多くはいないはずです。この年齢層で旦那より女房が先に亡くなるケースは結構少ないと思われます。
20年以上前に私が創業した相続アドバイザー協議会や相続学校などで学んだ知識を、存分に発揮する機会を与えられたことに有難いと思う次第です。
先述した通り、女房は相続税を納める程の財産を遺しました。短大を出た後、大手商社に約11年間勤め、何の因果か31歳で私と結婚しました。
その後も私が東京アプレイザルの経営をするにあたり、社員として籍を置き、給料をもらっていました。つまり、ここでも厚生年金を払っていました。そして60歳から年金をもらっていました。
その間実家からの相続財産をもらい、OL時代の給料をせっせとため込んだおかげで、それなりの金額になりました。主婦にしては結構な金額でした。とにかく贅沢をしないつましい女性でしたが、おかげで旦那はずいぶん使わされました(笑)。
たった3行の遺言書がありました。
全財産の内、
・○○に○○%を
・○○に○○%を
・東京アプレイザル株式を則人
に相続させる
注釈) この遺言書には銀行3行5支店、上場株式5銘柄等のうち、誰に渡すのかが記載されてないので、使えない遺言書と判断して、3人合意の元に分割協議書を作成しました。
東京アプレイザルの株式は非上場株式なので換金性はほぼありません。つまり、事実上は娘二人で財産を分けろということでした。生前に「貴方には遺さない」といわれていたので、それほどショックはなかったものの、さすがに葬式代ぐらいは取っておいてくれと言いたいところでした。
事後、葬儀費用・香典返し・お墓代・仏壇購入等の細々とした経費は全て私持ちだったので、完全な▲相続財産になりました。
娘二人には「パパは配偶者だから2分に1の相続分があるんだけどなあ」とか、「遺留分という制度があるんだけどなあ」とは間違っても言えませんでした。父親の威厳を保つためには致し方ありません。
NPO法人相続アドバイザー協議会の研修講座に、野口賢次氏の講座がありました。「円満相続」を提唱した草分けともいえる人物で、その内容は「譲った人が幸せになる」がキーワードです。財産を目の前にして人間は強欲になりがちですが、それに警鐘を鳴らした講座内容は、どちらかというと知識偏重になりがちな他の講座に比して、人間性の勉強をすることの大切さを教えてくれた秀逸な講座でした。
かつて、本業の鑑定評価で時価評価をする機会があり、多数の不動産を所有する大地主の相続で、母親と長女VS他の妹たちが争っていた案件がありました。このように、数々の相続争い事を経験したおかげで、自分の時はとにかく円満で済まそうと心に決めていました。
娘と財産で争う父親にはならなかったことを実践出来た、今回の体験は自分の大きな財産となりました。
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