今年も残り1か月になりました。「光陰矢の如し」とはよく言ったもので、特に60歳を過ぎた身には年月が過ぎるのはあっという間の出来事です。

自分事で恐縮ですが、何となく物事にこらえ性がなくなったように感じる今日この頃です。面白くないことや気に入らないことがあっても「我慢、我慢」を自分に言い聞かせなければなりません。

最近も、入った喫茶店のお姉さんの態度が気に入らないからと言って「あなたは感じが悪い」と言い放ち、注文を断り、店を出てしまいました。まぁ、昔から店の人に注文を付ける癖はありましたが、まずいなぁと思うわけです。と、反省する間はまだいい方かなと。これが全く取り付く島がないような感情になったらこれはアウトです。日馬富士の事件も、いくら態度が悪い後輩だとしても「暴力」は絶対にダメです。

私も長年「先生」とか「社長」とか呼ばれるうちに、事の本質や大事なことをおろそかにする、茹でガエル状態になっているかもしれません。

カエル

ところで、話題は今年限りの「広大地」です。

お陰様で、弊社には相続時精算課税制度を使った広大地贈与の問い合わせが殺到しています。地主さんにとって来年以降の相続は大増税です。500㎡以上の土地の評価は最低でも25%アップ、5,000㎡以上だと70%アップになります。これを今年中に子や孫に生前贈与させようということです。もちろん、現行の広大地に該当するかどうかのチェックは必要です。

ある90歳のお客様の例です。

2,800㎡(駐車場)と3.000㎡(自宅敷地)二ヶ所の土地を贈与するかしないかで、今年と来年以降では税額が約1億4,000万円の差が出ます。

贈与契約(確定日付を取り)を今年中に結んでおけば、登記は1月中に行えばよいそうです。

詳細は顧問税理士さんの意見を聞いて下さい。当然、特定の人に贈与するので他の相続人との調整も必要です。それと、目先の贈与税や登録免許税、不動産取得税、来年からくる固定資産税も押さえて下さい。

【生産緑地2022年問題】

生産緑地法という法律があります。平成4年に主として三大都市圏において原則500㎡以上の農地において、農業を続けるか宅地化にするかの選択を迫られました。農業をするのであれば、生産緑地の指定を受け、固定資産税は実質宅地化の100分の1程度に抑えられます。ただし、農業従事者(おじいさんかお父さん)が介護度5とか半身不随とかの身体障碍者か、亡くならない限り生産緑地を解除できません。死ぬまで農業を続けます。つまり、アパート・マンション建築不可、売買も出来ません。

この時に農家は悩みました。農協は当然、農家に生産緑地を選ぶよう指導しました。これが、全国で4,066万坪、東京都で997万坪、1都3県で2,312万坪の生産緑地の指定を受けました。

これを受けると納税猶予(父が死んでも相続税の支払いがほぼゼロ)の適用も可能です。

ところが、これは30年の期限付きです。2022年にはこの法律が切れることになり、生産緑地の解除申請が出来るのです。もちろん続けることも可です。しかし農家の長男でそのまま農家を続ける人はどれだけいるでしょうか。ずっとサラリーマンだった人が農業をするでしょうか?

つまり生産緑地を解除して自由に宅地として有効利用するか、売買して現金化するかにはなるはずだとの、不動産、建築業界の見立てです。すぐには売りにはなりませんが、間違いなく供給圧力にはなります。つまり今でさえ人口減少問題と空き家問題で大変なのに、宅地化が進むと地価下落につながる恐れがあります。だから「早めに何らかの対策を」と業界はこぞって我が社をPRしています(うちもその1社かも)。

いずれにせよ、大きな社会問題になることは確実です。それが5年後には確実にやって来ます。

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