お陰様でこのアプレイザルニュースを皆様に送り続けて(送りつけてか)今回で満20年、240回目を迎えることが出来ました。これも多くの読者(強制的に読まされる方々)が存在したからこそなし得たことです。改めてお付き合いいただいた全ての皆様に感謝申し上げます。

思えば平成7年に「東京アプレイザル」を忘れてもらいたくないという不純な動機の元に始まった事務所ニュースです。しかし、毎月義務化される(とはいっても好きでやっているのですが原稿書きが私のライフワークの一つになりました。その時々の不動産市況や相続問題を中心に心の問題にも触れることがしばしばありました。この数年は「相続」「事業承継」が旬なこともあり、これらの話題が中心になっています。団塊の世代の元気な社長にも高齢化の波が静かに押し寄せています。

特に先月号の「広大地実力判定テスト」では、半分遊びで半分真剣に出してみたところ、40数名の方々から関心を寄せていただきました。相続税の基礎控除が3,000万円になったことは、当該地が「広大地」が取れるか取れないかで税額は天地の違いになります。日本社会自体が高齢化ですので、今後30年間ぐらいは「相続」「事業承継」の話題は続くでしょう。

42歳から書き始めましたので、私も62歳になりました。お世話になった税理士さん、不動産業者さん、弁護士さんも、みんないい年のおじさんやおばさんになりました。(せめておじいさんとは言われたくない)でも、気持ちや心は青年、少女です。たぶん、今の60代は80代になってもまだ若いつもりで世の中に蔓延ると思います(当然私もその内の1人ですが)。

この25年間は日本社会がバブル崩壊の後処理に多くのお金、時間、労力が費やされ、やれやれと思ったらリーマンショック、これも癒える間もなく東日本大震災を経て、アベノミクスというへんてこりんな政策と中国バブルで一息をつきました。これに火をつけたオリンピック景気、いつまで続くのか、皆が息を潜めて見守っています。そのお陰で、都心不動産市況は絶好調です。利回りが4%を切っています。路線価の2倍~3倍で取引されているのが実態です。危ない道を前と同じように渡っています。プロという人種といえども渦中にいると判断に迷いや誤りが出てきます。それがバブルです。引き際を如何にするか。

30年前のバブルで学習した60歳以上の我々世代の知恵の出しどころです。今、40歳前後の人々は、昭和バブル時は子どもでした(いや、はっきり言います、ガキでした)。だから、親父世代の知恵や知識を真摯に素直に聞くことです。かくいう私も、ノミに食われた程度ですがバブルでやられています。不動産はあっという間に上がりあっという間に下がります。住宅ローンをはじめとして低金利が不動産価格を支えています。まさに砂上の楼閣ならぬ崖っぷちを皆で歩いています。金利こそ不動産の命です。これが上がるのか、このままずるずると横ばいで(超低金利で)行くのか、神のみぞ知るといっても過言ではありません。それと、少し恐ろしいのは中小ビルの賃料はほとんど上がっていないことです。家賃は実需です。しかし金利(利回り)は人が作る仮需です。この利回りは既に経験した2度のバブル時と全く同じような軌跡を辿っています。まさかネット1%の利回りでビルを買う人はいないでしょう。国債よりも利回りが高いので大丈夫などとは言わないで下さい。チューリップがバブルの対象になったよりはいいかもしれませんが。今回は昔に戻り辛口の不動産見立て評論でした。