◈広大地が認められる根拠とは◈

そもそも、広大地に認められれば何故こんな大きな減額が認められるのでしょうか。素朴な疑問です。これを理解するためには不動産鑑定(土地)評価の原理・原則を知る必要があります。ここでは一般的な住宅地(高度商業地やビル用地などは除く)の評価とします。鑑定の基本はまず標準的な画地の価格を算出します。この標準的な画地は面積100m²とします。(図1)
地方の方にとって100m²なんて小さすぎて土地ではないと思う方がいるかもしれませんが東京圏での一般的な面積は100m²程度です。
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この価格が仮に1m²当たり30万円とします。(1坪だと約100万円)総額は30万円×100m²=3,000万円となります。

では、これよりやや大きい300m²の土地があります。(図2)

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この土地の評価はどのようになるでしょうか。

300m²の土地を一人の人が買うのはかなり稀です(富裕層が住む邸宅が建ち並ぶ地域ではないとは言えませんが)。可能性としては80~90%の確率で不動産業者が購入し区画割りして建売用地としてエンドユーザーに売ることになります(図3)。
そうすると、BとC地は路地状敷地となり標準的な画地Aよりも15~20%程度の減価要因が生じます。つまり不動産業者は300m²の土地を図1の土地と比べて単価ベースではそれなりの減額した価格で買う必要があります。業者にとってこの土地を買うのは仕入れです。
評価は30万円×80%×300m²=7,200万円程度になると推定されます。

 

では、これの2倍の600m²の土地を考えて見ましょう。(図4)

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さすがに300m²に比べると、一人の人が購入するには、総額で値が張るため難しくなります。90~95%程度の確率で建売業者の市場になります。図5のように真ん中に開発道路を作って奥の土地にも接道させるように区画割りします。財産評価基本通達によるところの「公共公益施設用地」です。
これが、広大地に認められる要件です。評価は次のようになります。
30万円×70%×600m²=1億2,600万円程度になると推定されます。

さらに大きい1,000m²の土地を考えて見ましょう。(図6)

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この規模を一括で買うとなると富裕層といえども半端な富裕層では手が出ません。600m²に比べても格段とハードルが高くなります。よって、この土地は98%の確率で建売業者の仕入れ用地になります。同様に30万円×65%×1,000m²=1億9,500万円程度になると推定されます。(図7)
このように土地(主に戸建て用地でマンション適地は除く)は面積が大きくなればなるほど単価が下がるのが原理・原則です。それは、宅地化して販売するための開発道路の負担、宅地造成工事費、その期間、金利負担、事業リスク等々のマイナス要因が増えるためです。つまり、広大地の補正割合(例えば2,000m²であれば正面路線価の50%引きになる)はこれらの費用項目を全て入れ込んだ数字になっているわけです。これを整理すると、

100m²の土地・・・単価100    300m²の土地・・・単価 80
600m²の土地・・・単価70    1,000m²の土地・・・単価65

但し、これらの土地も角地や二方路画地であればプラスとなり、傾斜地、段差、不整形地等によりマイナスになります。