【後継者を選ぶ基準は何かを考えよう】

 一度、社長の座を譲ったものの(8年前に代表取締役及び取締役も退任)、結果的には事業承継は失敗でした。そんな者が言うのは説得力に欠けるかもしれませんが、2年前に代表取締役に復帰したその経験を踏まえて言わせていただきたい。

 65歳になった当時の私は、長年連れ添った女房が難病に侵されて2年が経っていました。少しは楽になろう、多少の面倒も見よう、介護もあるだろうという気になり、ちょうど同年代の取締役3人もいたこともあり、3度の飯よりも大好きな仕事が生きがいでしたが、思い切って代表権を譲ることにしました。もちろん全く仕事を離れる気にはなりませんでした。週に3~4度は顔を出し、世間様には会長などと呼ばれ悦に入っていたことも事実です。

 後継社長を務めてくれたXさんに代表を譲った理由はいろいろありますが、彼は何事にも動じない、とにかく強いタイプの男でした。私はどちらかというと弱いタイプです。なので、自分にはない度量を感じました。頼りになると思ったのです。

 しかし、私が辞めた後に何故か様々な事件が起こりました。これに対処するために創業者である私が傍観するわけには行きません。むしろ、それの後始末に私がかなり関わることになりました。

 どんな業界であれ、社長の業務は本業で稼ぐ以外にも、社員の健康・生活・待遇を考え、その一人一人に寄り添う気持ちがないと間違いなく離れて行きます。

 言い古されていますが、やはり信頼できる人物かどうかが社長の器の第1条件ではないかと思います。当社もそんな傾向が現れました。とはいえ、直ぐに辞めてくれとは言えません。暫くは様子を見ざるを得ません。ある意味我慢比べの感がありました。

 高々15人程度の組織でさえこんな苦労があります。100人規模の士業事務所代表者の方との付き合いがありますが、さぞや大変だろうなと思う反面、尊敬の念を抱きます。よくいわれることですが、「優秀なプレイヤーが即優秀なマネージャーになるとは限らない」があります。

 この経験を踏まえて、次代を担う社長職を誰に任せるのか、70代のご同輩社長にも考えて頂きたいと思います。

 今回にて、このシリーズは一端終了します。次回からは、あらためて本業の鑑定評価の本質を問うことに的を絞ったテーマにします。

乞うご期待。

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