東京アプレイザル・不動産鑑定士の永井宏治です。

2026年がスタートし、早いもので2月になりました。不定期レポートではありますが、前回よりかなり期間が空いてしまいました。

さて、今回のテーマは【取引事例から感じられるバブル経済期の地価動向】です。

最近、過去時点の評価の相談を受けることが多くなりました。相続に関する評価も「過去の時点」ではあるのですが、今回取り上げるのは昭和時代の過去時点ですので、何十年も前の時点です。

過去時点の評価の際は、相談を受けた時点で過去の取引事例を調べる前に地価公示のポイントを調べます。地価公示は昭和45年から開始されていますが、地価公示には「選定替え」という制度があり、近くの地点で場所が再選定されることがあります。したがって、昭和の時代から現在まで継続しているポイントは多くありません。したがって、その点も踏まえて規準とすべき地価公示または地価調査のポイントを探すこととなります(地価公示や地価調査のポイントの地価推移については下記サイトもご参照ください)。

【東京都の地価Googleマップ版】  https://tokyokante.sakura.ne.jp

話を過去時点の評価に戻しまして、とあるご相談で、昭和57年から昭和62年の5年間程度の都心の取引事例を調べる機会がありました。周辺の地価公示のポイントが5年で約10倍にまで上昇していたのですが、取引事例を調査すると10倍以上の水準での取引も多くあり、地価公示の上昇率以上の取引が実際の現場では起こっていました。元々地価公示は保守的な価格ですので、地価公示よりも高い水準の取引が行われること自体は珍しくありません。その保守的である地価公示価格でさえ5年で10倍、さらに取引の実態はそれ以上。

一般的にバブル経済は「狂乱の時代」ともいわれますが、当時の地価上昇が常軌を逸していたことが取引事例から感じ取ることができました。

当時私は子供だったので、世の中の状況はほとんどわかりませんでしたが、このような事態が起きていた時代はどのような社会情勢だったのだろうと考えさせられました。

現在はマンション価格や建築費が高騰し、地価も上昇している状態ではありますが、やはり当時と比較すると「狂乱」とまではいえないのでしょう。ただ、ここ何年かはずっと地価の上昇傾向が止まらず、マンション価格も上がり続けています。デベロッパーさんにヒアリングしても建築費は下がる様子はないとのこと。改めて弊社近くの住宅地の地価調査基準地を調べてみると、弊社が移転した令和5年7月の地価調査から令和7年7月の地価調査では約25%上昇していました。これは番町地区に限らず、比較的利便性の高い首都圏であればこのような上昇率は決して珍しくありません。

バブル経済期のような「急上昇」ではありませんが、終わりが見えない地価上昇や物価高については「もう少し以前のような水準に戻らないものだろうか」とつい考えてしまいます。