『こんにちは、芳賀則人です』
※このページは、不動産鑑定士・芳賀則人(株式会社東京アプレイザル 代表取締役)が、税理士業界で長年にわたりご活躍しておられる先生方を訪問して、いろいろなお話を伺わせていただく対談集です。資産税や相続・事業承継対策に関するお話だけでなく、ときには会計事務所創立の頃のご苦労話や、事務所経営のこと、人生にまつわる様々なお話まで、多岐にわたるお話を先生方から伺わせていただきます。
第1回に引き続きまして、わが国の資産税分野におけるコンサルティングおよび税務におけるトップランナーとして知られる税理士法人タクトコンサルティング会長の本郷尚先生との対談の後編をお届けいたします。
【第2回】
芳賀:ところで、本郷先生は会長になられて、今もお客さんと会ったりされていますか。
本郷:それはもう、やはり現場感覚がなかったらしゃべれませんよ。
芳賀:そうですよね。生の、やはりお客さんとの会話というか、対話というか。それは必要ですもんね。
本郷:それでないと、生きた話はできませんよね。
芳賀:鈍っちゃいますね。
本郷:鈍っちゃうんです。ある意味では、私がうちの中でも先端を行っていると思います。だって、お客さんとしゃべっているからです。それもトップとしゃべっているわけですから。
芳賀:そういうことですね。
本郷:たとえば、不動産投資の話で言えば、やはり今は国際的な競争のなかにあるわけですよね。そういう話が出るわけです。つまり、都心の物件とパリとかロンドンとかニューヨークとか、あるいは香港なんかとの比較になるわけです。
芳賀:なるほど。
本郷:そしたら、海外との比較でも絶対負けないエリア、そういうことを投資家は見ているわけです。ですから都心の中心部、その中でも海外に負けない特色をもったところ、そういうものは結局、世界で通用するという話になるわけです。これで東京オリンピックが来た時に、要するにお金持ちが欲しがる所、若者の集まる所、ここがやはり不動産の価値なんだ、って言うわけです。それはいろいろな意見がありますけれど、しょうがないです。二極化するのは。お金は世界を回っちゃうわけですから。
芳賀:そうですね。
本郷:集中するのもしょうがないし。そうすると、その人たち(投資家)が欲しがるものはどこかってなるじゃないですか。で、こういうことを言っていました。坪当たりっていうか、平米とか、3.3平米でいくらですよ、と。そうすると、彼らはマンションの価格で言っているんです。マンションは共通語なんですよね。
芳賀:ああ、なるほど。坪単価ですね、いわゆる。
本郷:ええ、坪単価です。そうすると、一番高いのはロンドンだったかな、何でも2,000万円ぐらいするんですね。
芳賀:はい、2000万円ぐらいするって言ってました。香港も高いそうですね。
本郷:香港も高いです。1,000万円を超えていますね。ところが日本の場合は、800万円か900万円ぐらい。
芳賀:そうですね。
本郷:でも、都心のごく一部では1000万円超えている所があるんですけれどね。
芳賀:1,000万円を超えますか。噂ではアパホテルが1,200万円を超えるところをやるっていう話も聞きましたが。
本郷:それ以上の価格のところもあります。それは「国際的に見て通用する」ってことなんです。
芳賀:通用するわけですよね。30坪でも3億ですもんね。
本郷:そうですね。だから、それは唯一無二の所なんです。
芳賀:3億くらいだったら、お金持ちはいくらでも買えますもんね。
本郷:でも、それはタワーマンションじゃないんですよ。間違えないでください。一見タワーマンションに見えるけど、タワーマンションじゃない。タワーマンションはリスクが高いんですよね。やっぱりグラグラっと来るっていう時のリスクって、あるんです。
芳賀:ああ、なるほど。
本郷:やっぱり7階、8階ぐらいの所ですね。
芳賀:そうですか。
本郷:タワーマンションが節税になるって話はよく聞くけれども、あれはちょっと怖いなって感じがしますけどね。節税になる、節税になるって言うけど、節税が目的であってはいけないっていうことだけは、間違いないと思います。
芳賀:なるほど。
本郷:それを目的に買っちゃうと、業者の口車に乗っちゃうじゃないですか。値下がりするリスクだって高いじゃないですか。投資利回りなんかほとんどありません。
芳賀:ないですね。
本郷:しかも、それを長期的に持たなきゃならないわけですよ、あれは。買って相続が終わったら即売りました、なんてやったら、税務上否認されてしまったケースがあります。
芳賀:そうですね。
本郷:そうすると、6~7年待たなきゃならないということですね。その間に値下がりするリスクってあるわけです。そうすると、やはり安定的な価格を維持できる場所じゃなきゃいけない、そういうことになりますよね。じゃあ、それはどこかっていうことを、ちゃんと見定めなければいけないわけです。だから、(節税効果のためには)高けりゃ高いほどいいんですって、それは高けりゃ高いほど怖いわけです。
芳賀:確かにそうですね。30何階とか、50階とか。
本郷:それが怖いわけですよ。上へ行けば行くほど。価格が落っこちるリスクも、地震のリスクも。なにしろ投資利回りが合っていないんですから、それを持ち続けなきゃならないって大変ですよね。自分が住むならいいですけれどね。
芳賀:そうですね。本当に震度6とか7になった時に怖いですね。
本郷:だって、あの3.11の時にそういう事件が起きたじゃないですか。みんなびっくりしちゃって、怖がって一斉に逃げ出しちゃうって話もありました。しかも、海岸沿いのマンションはもう二度と住まないとか言い出して。
芳賀:言い出しましたね。でも喉元過ぎればでもないですけど、また売り出していますけどね。
本郷:だから、それは知らない人と、忘れちゃった人ですよね。でも、本物は知っていますよ。そうすると、やっぱり高台の所で、地盤が安定している所で、そうすると千代田区のどこがいいんだとか、そういう所ってみんな知っているわけじゃないですか。
芳賀:そうですね。
本郷:何で麻布だとかあの辺が、がっちりとマンションが値下がりしないかっていうと、そんなに高いものが建たないじゃないですか、あの辺は。緑があって、利便性が高くて、しかも安全性が高い所だって、みんな知っていますよね。
芳賀:はい。そうですね。
本郷:本物を知っていますよね。
芳賀:そうですね。つまりそういう勉強というものも、ちゃんとしてないですよね。いわゆる農家地主の人たちって。知っている人はやっぱり少ないですよね、私が見る範囲では。
本郷:そうですね。だから勉強の話に戻りますけれど、本物を見る目っていうのかな。それは研修会とか勉強会とか、トップレベルの人たちの話を聞くことが必要なんです。
芳賀:なるほど、そうですよね。
本郷:技術論も大事ですよ。テクニックも。だけど本当のことも知る必要があるし。それから外資系コンサルタントの人なんか呼んでもいいと思います。ああいう人たちはVIPを知っていますよね。
芳賀:外資系コンサルタントですか?
本郷:そう、例えば外資系コンサルタント外資のPBっていうんですか、プライベートバンカーって、今はあまりいなくなったかもしれませんが、要するに金持ちを相手にしています。
芳賀:超富裕層だけを対象にするような、例えばモルガンスタンレーとかメリルリンチとかみたいな、そんな感じですか。
本郷:そうですね。あるいは生保でも居ると思うんです。あんまり表へ出てこないかもしれませんけど。もうVIPだけ相手にしている、投資のコンサルっていうかな。PBですよね。
芳賀:そうですか。プライベートバンカーみたいなことですね。
本郷:そうそう、プライベートバンカーですね。そういう人と接触すると、その人たちは、何代も続いたお金持ちとか、そういう人たちを知っていますよね。
芳賀:なるほど。
本郷:そうすると、その人たちの価値観とか生き方とかっていうのを聞けるわけです。芳賀先生のおっしゃる郊外地主さんたちは、土地が上がったから資産家になったという方たちなんですね。
芳賀:そうですね、土地が上がって俄かに資産家になったわけですね。
本郷:ですね。それから税理士さんは、中小企業の社長は知っているわけですよね。でも、お金持ちではないですよね。
芳賀:そうです。
本郷:土地を持ったり、資産を持ったり、中小企業としてはまあまあのところです。
芳賀:中には居ますけれど、でも少ないですよね。中小企業の社長で金持ちっていうのは。
本郷:そうですね。そうすると、さっきのように都心23区の真ん中の5区ぐらいの、渋谷、新宿、千代田、中央、港、この辺のいわゆるVIPという、5億、10億ぐらいの、あるいはそれ以上のキャッシュを持っている人たち、この辺の人たちの生き方とか考え方は、やっぱり知っておく必要があるんです。
芳賀:なるほど。そうすると、うちはそこに弱いですね。郊外地主系の人たちはよく知っていますけど。
本郷:この人たちを相手にして話していると、どうしてもそっちの話になって、そうだよね、そうだよねって傷をなめ合っちゃう話になっちゃうじゃないですか。ただ、もう一つ言うと、そういう人たちだって息子さんたちや娘さんたちがちゃんと教育を受けてくると、だんだんそういうことが分かってくるじゃないですか。
芳賀:はい、そうですね。
本郷:そうすると、ついていかれなくなっちゃいますよね。アパート作ったらいいですよとか、法人化したらいいですよ、それだけの話しかできないじゃないですか。ちょっと海外に行ったら、さっき言ったようにロンドンがどうだとか、香港がどうだとかって話ができる人たちがいっぱい出てくると、それはもうついていかれなくなっちゃいますよね。
芳賀:そうですね。そういう情報収集能力というか、機会といいますか、特に農協さんにがっちり握られている所っていうのは、やっぱり弱いですよね。
本郷:でも、それだと成功しないじゃないですか。失敗しちゃうわけです。
芳賀:いや、だから本当に大変です。
本郷:今の農業改革じゃないけど、あれと同じことになって、改革できないまま絶滅していっちゃうっていうか。
芳賀:そう思います。つい2カ月前の話なんですけれど、都下の地主さんが去年の秋口に3億円ぐらいで土地を売ったって言うんです。で、売った理由が、「固定資産税が払えなかったから」っていうんです。アパートは2棟ぐらいしかないけれど、駐車場があったりけっこうな地主さんで、毎年600万円近い固定資産税を払っていたんです。それがもう固定資産税を払えないんで、しょうがなく土地を売ったというんですね。不動産業者さんにとってはいい話なんですけれど、お父さんが90歳を過ぎていて、お母さんもそれくらいです。私どもがお会いしても結局、相談で終わっちゃったんですけれど、そういうことが現実的に起きているんですよね。固定資産税払えなくて、土地を売っちゃった。びっくりしました。そのうえ、何にも手を打ってないんですね。
本郷:だから固定資産税評価額にしろ、路線価にしろ、芳賀先生が言う時価と逆転現象が起きたって下げられませんからね。(役所の)彼らは税率も下げないですし。
芳賀:せめてうちがやれるのは、この土地が広大地になってという意見書を書いて、相続税を下げることですね、というような話で終わっちゃったんですけれど。
本郷:別にタワーマンションじゃなくたって、普通のマンションだって、2億、3億するマンション買ったって、せいぜい4,000万か5,000万でしょ。
芳賀:そうですね。
本郷:それだけでもう消えちゃうわけですから、相続税はかからないでしょう。で、資産価値は下がらないでしょう。
芳賀:下がらないですね。
本郷:利回りが2パーセント、3パーセントといったって、ちゃんと収益が出て、固定資産税は経費で落とせるわけでしょう。
芳賀:そういう知恵もないし、勇気もないですよね。都心への組み換えっていうか、そういう制度を全然使っていない所がいっぱいあるんですね。さきほどの地主さんの相談では、遊休地というか、古いアパートやマンション、それが二つありましたけれど、修繕費ばっかり掛かってこれは大変だなと思いました。でも、それっきり何のアクションも起こしていませんけれど。象徴的な、いわゆる郊外地主さんだなぁと思って、帰ってきましたけどね。
本郷:もう本当に、何をかいわんやですけどね。それでいて、平気で借金してアパートなんか作っちゃうわけでしょう?
芳賀:そうです。
本郷:だって借金してアパートを作ったら、もう銀行に取られたみたいなものじゃないですか。
芳賀:長男が60代半ばでした。だけど、やっぱり実権はまだ、お母さんがかなり性格の強い方なので実権を握れていないんですよね、ご長男が。まあ、やりにくいんでしょうけれど。恐らくそういう地主さんって、首都圏には何十万人も居るんでしょうけれど。
本郷:ちょっと話を戻しますと、やっぱり専門家が現状の中でどっぷり漬かっていると、そういう話しか伝わってこないじゃないですか。そのときに、他の専門家、違う分野の専門家の話を聞いて、目からウロコみたいなことを聞かないといけません。その時の受け止め方として、それはもう自分とは別世界の話だというふうに見るのか、「えっ?」と思って見るのか、それは2種類あると思うんです。
芳賀:なるほど。
本郷:日経新聞の「私の履歴書」なんかによく出てくる話で、海外に行ってみたら、とんでもない話を聞いたり見たりしてびっくりしちゃう人と、そのなかで実際に行動に移せる人とあって、ツアーで行ったって行動に移せる人はほんのわずかしか居ないんですね。でも成功者っていうのは、大抵それを見てびっくりして、だけど自分でもそういうことができるんじゃないかと思ってチャレンジして、何度も失敗するんですけれど、そこから成功してくるっていう人が多いんですよね。井の中の蛙の人は、結局、何もできないっていう人が圧倒的に多いんですよね。
芳賀:そうですね。
本郷:だから、それと似たようなもので、そういう話を聞いてみて、やっぱりチャレンジする人が成功すると思うんです。まして日本は、言葉では国際化なんて言葉を使ったり、オリンピックがあるなんて聞いたらいいけど、やっていることは何も国際化もされてないし、何も進歩もしてないし。
芳賀:そんなに変わってないですもんね。本当ですね。
本郷:逆に節税がいけないって言いながらも、僕から見れば、一番国際化されていないのは税法ですよね。土地が幾らで、建物が幾らで、という昔の石高税制みたいなことをやってるわけです。平米あたり幾らで、固定資産税も相続税も財産を評価して。
芳賀:そうです、そうです。
本郷:そのようにやっているわけですね。収益とは何の関係もない税金ですね。それは唯一の救いだから、だったら、こっちも開き直ってやればいいわけでしょ。だから地べたを持っている人だけが、一番厳しいわけでしょう。
芳賀:そうです。
本郷:収益のない建物を持っていたら、もう最悪でしょう。
芳賀:そうですね。確かにそうですね。そのギャップはありますよね。
本郷:あるんです。だったら、そっちに開き直れば。
芳賀:税制の「非国際化」ですよね。
本郷:そうですよね。だから、国際的なのはマンションだけ、ということです。
芳賀:そうですね。
本郷:最近は銀行がようやく建物の耐用年数をきちんと見るようになりましたね。昔なら、木造で20年過ぎた建物なんか(融資の)対象にもしなかったけど、今はちゃんと対象にしていますでしょう。ということは、国際的に見れば木造だって30年、40年、50年、普通に持つわけですよ。それが売買されているわけですよね、40年ぐらいの建物だって。ビルだって60年、70年も売買しているわけです。そうなると、昔は法定耐用年数を過ぎた建物については、融資はしなかったんですよね。今はもう、ちゃんと融資しているわけです。その点では当然問題なくなったわけです。ですから建物に価値があるわけですよね。ちゃんとリフォームして、あるいはリニューアルができてさえすれば。そこは狙い目じゃないですか。
芳賀:そうですよね。
本郷:だから、そこをうまく利用できた人は強いですよね。新築よりも古い建物の方が固定資産税評価額も低くて、しかも減価償却も簡単に取れて、たしかに狙い目なんですよね。
芳賀:そうなんです。だから本当に中古マンションでそれをいかに生かしていくかっていうのは、今後の大きな課題ではありますよね。
本郷:そうですね。なにしろ収益力が一番大事なところですから。だから僕は「資産を組み換えて、収入に組み換えて」って言うんですけれど。いまや高齢化社会ですから、60歳とか70歳の方はこれから20年、30年生きていかなきゃならないじゃないですか。だから資産を持っているということよりも、収入を欲しがるわけですよね。なきゃ困りますよね。で、僕はこういう言葉を使っているんですね、「資産の年金化」って言っているんです。
芳賀::資産の年金化ですか。
本郷:昔は「現金化」って言ったんですけれど、今は「年金に切り替えろ」と言っています。例えば1億円で売って、建物にしろ、マンションにしろ、とにかく収入に変えちゃえと。
芳賀:なるほど。
本郷:どうせマンションを買うといっても、結局それはマンションが古くなって価値がなくなっちゃうじゃないかって、それでいいじゃないですか、と。それって(資産を)食べ尽くしたってことですよね。やっぱり収入が欲しいんですよ。
芳賀:家賃が得られればいいと。
本郷:そうそう。食べ尽くしちゃえばいいじゃないかということです。そして、残りかすは子どもにあげりゃいいと。
芳賀:なるほど。元本が下がってもいいじゃないか、ということですね。
本郷:そうです。どうせ本人はいなくなるんだから。そして残ったものは子どもにあげると。
芳賀:なるほど。
本郷:子どもに残そうなんて思わなくていいって。自分が楽しめばいいんだから。だから、税金より年金って言うんです。税金対策をやるよりも自分の年金対策ですよ。生き残っていかなきゃならないじゃないですか。例えば家賃が年間、仮に500~600万円あったとして、それが30年でも40年でも続くとすれば、すごい財産ですよね。
芳賀:そうですね。
本郷:仮に500万円で20年間、ずっと続くかどうかは分かりませんけれど、それで1億円残りますでしょう。それが子どもに残ったら、子どもはものすごい莫大な年金をもらうんですよね。これはワンルームマンションの人がよく言っている話だけど、別にワンルームじゃなくたっていいと思うんです。ですから、よく言うんだけど、奥さんは相続税がかからないじゃないですか。僕がセミナーで使うのが、「税金より年金」って言うんですけれどね。奥さんの関心ごとは、相続税なんか何の関心もないんです。だって奥さんは、1億6000万円まで税金がかからないとか、自宅にはかからないとかって考えると、2億5000~6000万円までは税金がかからないですよね。あるいは、退職金も、保険金も非課税の枠がありますから税金はかからないわけですよね、ほとんど。そうすると時価にすると合計3億円ぐらいは税金がかからないわけです。
芳賀:そうですね。
本郷:そうすると奥さんとしては、厚生年金の手続きと、自宅をすぐ自分名義に変えるのと、預金の名義を変えるのと、生命保険を変える、アパートの名義を変えるでしょう。この名義変更だけですよ。相続税の申告なんか、何の興味もないんです。だから、うちの税理士に言っているんです。奥さんは相続税の申告の手続きなんか、何の興味もないんだよと。この四つの手続きだけが興味があるんだから、それをすぐやってあげると、帰りに手土産くれるからって。
芳賀:手土産ですか。
本郷:そうですよ。奥さんは税金の申告なんか何の興味もないんです。だから、「税金より年金」なんです。しかも、このアパートの収入とか不動産収入のあることが大好きなんですから。
芳賀:なるほど。
本郷:それから、生命保険が自分のところに入ってくるとか、生命保険が年金化している時がすごくうれしいんです。だから資産が年金化されているのが一番いいんです。毎月、安定的に入ってくるのが大好きなの。
芳賀:そうですね。
本郷:うん。1億円の現金もらうよりも、年金でもらえる方が好きなんです。
芳賀:なるほど。確かに1億円もらっても、どうやって使っていいか分かりません。
本郷:そうそう。だから月々40万円とか50万円入ってくるのが大好きなんです。
芳賀:そうですよね。
本郷:毎月、給料もらうのと同じなんです。
芳賀:同じですもんね。
本郷:それが大好きなんです。相続人も同じですよ。だから資産を年金化させるってことです。安心するじゃないですか。だから食べ尽くすんですよね。タコの足みたいなものなんだけど、それでも月々入ってくる方がいいんです。
芳賀:そうですね。
本郷:これは落語みたいな話ですけれど、生命保険の手続きに行って、いろいろなこと記入している時に、「死亡原因」のところに奥さんが自分の名前書いちゃった人がいました。(笑)
芳賀:死亡原因に奥さんの名前ですか?
本郷:慌てて書いちゃったっていう、まぁ冗談話ですよ。(笑)
芳賀:それって、奥さんの名前を書いちゃったっていうのは、誰が書いたんですか。
本郷:奥さん自身が書いちゃったんです。
芳賀:奥さんが自分で書いたわけですね。
本郷:手続きではいろいろ書くじゃないですか。それで、慌てて書いちゃったんですよ。
芳賀:いやいや、一番面白いです。なるほど。
本郷:大変なんです。つまり手続きのときは自分でやらなければいけないので。
芳賀:自署ですか。
本郷:自署なんです。
芳賀:なるほど。
本郷:もう書く気力もないんですよね。だけど本人が書かなきゃいけないからって、もうそうなると、書けるのは自分の名前だけですよね。
芳賀:なるほど。
本郷:だって、病名なんて書けないじゃないですか。
芳賀:そうですよね。
本郷:まあ、それは冗談ですけれど、とにかくやってあげるべきことは、そういうことなんです。だから、アパートの名義をパッと変えないと入金が入ってこないじゃないですか。翌月から生活していかなきゃならないですからね。
芳賀:そうですよね。
本郷:預金名義を変えるでしょう。アパートの名義を変えるでしょう。それから厚生年金も変えなきゃならない。
芳賀:そっか。遺族年金ですね。
本郷:遺族年金です。それから保険金の手続きでしょう。これをやってあげさえすれば、もう奥さん、「はあ」と安心するわけです。
芳賀:安心ですよね。
本郷:もう安心ですよ。そうすれば「お世話になりました。お世話になりました」と感謝されます。
芳賀:なるほど。
本郷:準確定申告なんか、どうでもいいんです。そんなもの、税金払う話ですから。
芳賀:そうですよね。
本郷:相続税の申告なんか、何の興味もないです。
芳賀:まず名義変更ですね。
本郷:名義変更して、アパートの収入が翌月からちゃんと入ってくる。あるいは厚生年金の手続きだって大変ですよ。行ったことがないんですから。
芳賀:そうですよね。
本郷:ああでもない、こうでもないって、窓口で聞かれるじゃないですか。やはり年寄りが、そんな役所へ行くなんて嫌なんですよ。そういうのを嫌って、行ったことないんだから。
芳賀:それは、先生のところでもやられるんですか。
本郷:はい、やります。だから分かんないけど行ってこいと、一緒に。付き添いで。
芳賀:ああ、付き添いで行ってあげるってことですね。
本郷:最近増えてきた相続の資格者の人でもいいんですよ。行ってあげてください。
芳賀:なるほど。
本郷:僕の知っている司法書士さんは、そこがうまいです。うちの女房なんか、もうそれにイチコロでした。ワゴン車でずっと銀行回りして、手続きを全部やってもらって、名義変更してもらって、アパートの契約も全部、不動産会社に行って頼んでくれて。それで翌月から、ちゃんと入金されたって。それで、おばあちゃんが隠し預金だか何かをしていたらしいんです。まぁ隠し預金じゃないんですけれど、ペイオフのことがあって、あちこちの銀行に通帳を作っちゃったものですから、それで家探しして、何か信用金庫の預金を見つけ出したんです。そしたら大喜びして。
芳賀:知らない預金があったってことですか。
本郷:知っていたかどうかは分かりませんが、年寄りって、あっちこっちに預金を振り分けていたんですよね。
芳賀:なるほど。そういう細かい手続きっていいますか、作業をしてあげるっていうのは重要なんでしょうね。実務的にはね。
本郷:ところが税理士さんがやるときって、そういうやり方をしないわけです。
芳賀:なるほど。
本郷:預金のある通帳を出してください、残高証明を取ってくださいって、結局、役所みたいなことをやっているわけです。おまえさん、税務署の回し者かいって。
芳賀:というイメージになっちゃうんですよね。
本郷:それは税金の申告をするときの名宛人が税務署でしょう。お客さんに向いてないわけです。
芳賀:なるほど。
本郷:「じゃあ、お客さん一緒に預金を早く獲得しましょうよと。お客さんのものにしましょうよ」っていう姿勢じゃないわけです。そうじゃなくて、「税金の申告するために残高証明を取ってください、預金の通帳を出してください、コピーを出してください」って、税務署の回し者としてしゃべっちゃうです。
芳賀:だから調べるみたいな感じなんですよね。
本郷:そうです。そうすると、お客さんは気持ちが引いちゃうわけです。(財産を)一緒に探しましょうよ、早く獲得しましょうよって姿勢がないわけですから。
芳賀:なるほど。どっちかっていうと税理士さんはお客さん目線じゃないんですね。まあその、仕事自体が。
本郷:まあ、そうでしょうね。だからお客さんの目から見ると、「税務署の回し者だ」となっちゃうわけです。回し者っていうとおかしいけれど、要するに税務署の代行をしている人に見えちゃう。「資料とか明細を出せば出すほど税金が増えるんじゃないか?」と。
芳賀:しかも税務署は料金取りませんけど、税理士さん、料金取りますから。
本郷:そうでしょ。その雰囲気が、「いったいどっちを見ているんですか」となるわけです。たとえば、「奥さまの預金もひょっとすると名義預金かもしれませんので、その辺の確認もさせていただきたい」とか何とかって言っちゃうわけです。それは税金の申告をする時に相続税の計算をしようという、そればかりに一生懸命なので、お客さんのためになるなんて思ってないわけです。
芳賀:そうですね。
本郷:だけどそれが、たとえば、「奥さん、何の心配もないですよ、ざっと1億6,000万円までは税金がかからないんだから」、そう言ってあげりゃいいんです。タンスに入っていたって、金庫に入っていたって、1億6,000万円まではかからないんだから、そこまで残高を出したって何の心配もないんですよ、と。「出すものを全部出したって何の心配もないから、それよりも旦那さんの預金がどこかにしまってあったら、引っ張り出した方がいいですよ、なので一緒に探しましょうよ。」と、このぐらいのことを言ってあげたら、全然心配ないじゃないですか。
芳賀:そうですね。
本郷:1億6,000万円もあったら、めっけもんですねって。全部非課税ですからって。
芳賀:一応、税理士さんとしては、申告はしなきゃいけませんよぐらいのことは言いますよね。そのぐらいは頂きますっていうことでいいんでしょうね。
本郷:でも、どうしても慣れてない先生は、「税務署に申告しよう、しよう」とするじゃないですか。その雰囲気が匂うじゃないですか。たとえば、「税務署が調べると、そういうところはどうのこうの」とか、何だかそういう雰囲気で話してしまうじゃないですか。
芳賀:こちら側(納税者側)の立場じゃなくなっちゃっているんわけですね、あれは。
本郷:そうですね、「申告書を書く」という立場で話すから、そういうオーラが出ちゃうんですよ。司法書士などに頼んで、財産を見つけて引っ張り出しましょう、申告は全然心配ないですよって、それを言ってあげればいいんです。そのために1億6,000万円あるんですよって、言ってあげりゃいいじゃないですか。
芳賀:そうですよね。
本郷:仮に税金が出るとしたって、今言ったように1億6,000万円とか、あるいは法定相続分の2分の1まではかからないわけだから、大した心配なんかないです。全部なんか、持っていきやしないんですから。
芳賀:そうなんですよね。
本郷:お客さんが心配していることを、心配ないように、お客さんが安心するようにって、持っていけばいいんですよね。それから、例えば金庫にしまってあるお金って結構あるんです、タンス預金とか。なかにはやはり後ろめたいお金もあるんです。例えば商売人なんかは、いろいろな所得税だとか法人税だとかって、ちょっとごまかしたようなお金っていうのもあるわけです。中小企業の社長とか、お医者さんとかにも結構多いんです。あるいは地主さんだって、駐車場だとか、家賃だとかって経費でごまかしたのがいっぱいあるんです。それが何百万とか、何千万ってある人も居るんです。でも、何の心配も要らないんです。過去の所得税、過去の法人税は一切関係ないと。何にも関係ないです。相続税時効で出しゃいいですから。
芳賀:ああ、なるほど。
本郷:そんな、過去にお父さんがそんなことやったからって、相続には何の関係もない話です。被相続人にも何の関係もない。相続税の調査はあくまでも相続税ですから、みんな出せばいいんです。
芳賀:なるほど。
本郷:みんな出せば、今度はさっきのように奥さんが居れば、奥さんはたとえば法定相続分の2分の1まで相続税がかからないんだから、仮に1億6,000万円を超えたとしても、出てきた預金のうちの2分の1は絶対かからないんです。もし5,000円万出てきたって、2,500万円はかからないんだから、2,500万円には税金がかかりますよ、だけど、それに対して最大でも50パーセントだから、結局は(実質的には)25パーセントでしょう。ということです。それでももったいないっていうなら、何をかいわんやだけど。
芳賀:そういうことを言ってあげるってことですね。
本郷:そうそう。だから「何の心配もないから出したほうがいいですよ」って。だって、もし隠してしまい込むと、ドキドキしてるだけでしょ。
芳賀:ですよね。
本郷:捕まったら、もう重加算税が課されて、新聞に載っちゃうかもしれないでしょう。しかも(そのお金は)使えないでしょう、一生。
芳賀:そうですよね。
本郷:だから、あとは言い方の問題です。そういうお金があったら、相続税の時に思い切って出してしまえば、晴れて「表金(おもてガネ)」になるわけです。そういう言い方ができるかどうかだと思うんですよね。
芳賀:いわゆるお客さんに寄り添うみたいな感じですよね、先生。さて先生、最後になりますけれど、この『お元気ですか』は何年ぐらいになるんですか?(編集部注:『お元気ですか』は本郷先生が毎月お客さまや関係者に出しておられるハガキ)
本郷:もう20年ですか。今度で、20年になっちゃうかな。
芳賀:20年になりますか。
本郷:はい。丸20年過ぎました。それから、せっかくだから専門家のネットワークに関する話についても触れておきましょう。
芳賀:あ、そうですね。
本郷:これは紹介し合うっていうんですかね。税理士さんが、自分のできないことを芳賀先生のような鑑定士さんに紹介するとか、不動産業者に紹介するとか、ABC商法って言うんですけれど、お客さんがクライアントとしますと、「ブリッジ」って言って橋渡しをするということです。
芳賀:ブリッジですね。はい。
本郷:そう、ブリッジです。アドバイザーがAなんですけれど、そのような専門家が居て。そして自分がブリッジになることもあるし、自分がアドバイザーになることもあるし、お客さんに対して橋渡しするんですね、必ず。A、B、Cとして。
芳賀:Cっていうのは、コンシューマーの意味ですか。
本郷:そうです。お客さま。お客さまに対して自分が橋渡しして、測量士さんを紹介するとか、鑑定士さんを紹介するとか、保険会社を紹介するとかですね。
芳賀:ああ、なるほど。
本郷:紹介料をもらうのは、堂々ともらっていいと思います。なんですか、保険屋さんの上前をはねるとか、不動産屋からピンハネするとかって、よく言う人が居るけれど、そう思う人はそう思ったっていいけれど、むしろちゃんと紹介した方がいいと。
芳賀:なるほど。
本郷:逆に、紹介されるという立場になることだってあるわけです。そういうことを、ネットワークとしてつくるということです。1人じゃ何もできやしないから。
芳賀:なるほど。
本郷:それはたとえば、お医者さんがそうですよね。内科の先生が外科を紹介するとか、大学病院を紹介するとか。
芳賀:そういうところ、ありますよね。
本郷:それでまた紹介された患者さんが戻ってくるわけでしょう。
芳賀:そうですね。
本郷:そのネットワークで紹介できるお医者さんが多い人ほど、いい医者ですよね。逆に、自分1人で抱え込むほど、あんまりいい医者じゃないですよね。
芳賀:そうですよね。
本郷:ネットワークの充実している先生が、いい先生ですよね。
芳賀:なるほど。
本郷:1人で抱え込むと、やっぱり自分がノイローゼになるから。
芳賀:そういうことですね。
本郷:すぐ振った方がいいですよね。しかも、情報が集まりますよね。
芳賀:ああ、そうですよね。
本郷:いろんな見方があるんだってことが分かってくるし。
芳賀:そうですよね。
本郷:弁護士さんだって、全部知っているわけじゃないです。六法が全部頭に入っているわけじゃないから、このことはあっちの専門家だ、あるいはこっちだとか。
芳賀:得意分野っていうのがありますもんね。
本郷:ありますよ。1人の人間なんか、たかが知れていますよ。パソコンでキーワードで検索したって、そんなものは知れているわけです。
芳賀:そうですよね。
本郷:本当にやっている人を見つければいいんです。
芳賀:そういうことですね。
本郷:ええ、そうです。だから、そのネットワークをどうつくっていくか。それにはネットで調べるだけじゃ駄目。やっぱり実際に会ってみて、触れてみて。研修に行くとか、どんどんどんどん広げていって、それで触れてみて。そうしたら自分自身も充実してくるし。
芳賀:そうですね。
本郷:それは、もうずっと続けなきゃ駄目ですよ。永遠に、プロは。永遠に続けるわけです。
芳賀:永遠に続けるってことですね。
本郷:そうです。そうすると、その人がどんどん新鮮になるわけです。常に新鮮です。だって時代が変わってくるわけでしょう。
芳賀:はい、そうですね。
本郷:自分で得る情報もあるかもしれないけれど、そのネットワークの人がいろんなものを持っていますよね。ですから、勉強会に出ていくんです。
芳賀:そうですね。
本郷:現場に行くことも大事ですよね。それから勉強することも大事です。実行することも大事です。やっぱり百聞は一見に如かずでしょう。また、百見は一考だから、よく考えることですよね。そして実行することですよね。そういうようなネットワークがすごく重要です。
芳賀:なるほど。
本郷:それをやらなかったら、プロとしてはどうにも使いものにならないでしょう。ネットの時代だって言うけど、おたくっぽくパソコンの前に座っていたって、どうにもならんでしょうね。
芳賀:なるほど。やっぱり現場へ行ったりとか、「本当の、本物の人に会う」とか、そういうことですね。
本郷:そうそう。(そうでなければ)琴線に触れませんもん。
芳賀:ですよね。
本郷:あれ(パソコン)見ているだけじゃ、どうにもならんですもん。
芳賀:感動しないですよね。
本郷:しない、しない。何にも触れない。スマホでピピピッって、それだけでしょ。
芳賀:そうですね、確かに。
本郷:言葉に迫力がないじゃないですか。
芳賀:ないですよね。
本郷:心に響かないから。
芳賀:そうですね。画面で1時間勉強するったって、ほとんど無理ですよね。
本郷:下手すると評論家になっちゃうんです、あれは。
芳賀:ああ。なるほど。
本郷:画面に文句言ってるだけでしょ。
芳賀:そうですね。でも、どうしても若い人は、そういうネットを中心に生きてきていますからね。
本郷:でも実行してないから、その人たちは最終的に実行して失敗するんです、絶対に。実行して、失敗して、初めて学ぶじゃないですか。成功することもあるけれど、まあ、多分成功しないでしょう。で、挫折するでしょう。そこから、また何か生むでしょう。そこから、ちゃんとしたものが生まれてくるでしょう。その繰り返しをしているわけでしょう。
芳賀:なるほど。それと先生、最後にあれですけど、先生って、挫折ってありますか。
本郷:それは、あるでしょうね。
芳賀:先生でもありますか。
本郷:ありますよ。失敗は何度でもやっていますよ。
芳賀:そうですか。
本郷:毎日、やっています。
芳賀:いやいや、大きな挫折感みたいなのって、味わっていますか。
本郷:それはもう、失敗も随分しました。
芳賀:そうですか。
本郷:病気もしたし。
芳賀:ああ、そうですか。
本郷:でもそういう、やっていくことが楽しいから、やっていくわけであって。
芳賀:あと先生、どのぐらい行くつもりですか。
本郷:別に全然、決めてない。
芳賀:決めてないですか。
本郷:決めてない。
芳賀:なるほど。
本郷:決めない方がいい。
芳賀:ああ、決めない方がいい。なるほど。
本郷:イチローなんか決めてないでしょう。
芳賀:カズも決めていませんよね。
本郷:決めてないです。決めてない。
芳賀:決めてないですよね。張本さんにさんざん言われましたけど。
本郷:決める方がおかしいでしょ。
芳賀:そうですよね。やっぱり。
本郷:どっかでそれは、そういうことが来るだろうと思うけど。
芳賀:うん。特にスポーツ選手は、やっぱりどうしても体力の低下。
本郷:そうそう、体力もあるけど。
芳賀:問題がどうしてもありますのでね。でも決めてない。
本郷:決めてないです。
芳賀:先生も決めてない。
本郷:決めてない。
芳賀:これは、ちょっといい言葉ですね、いや、これはちょっと先生、ちょっと衝撃でしたね。
本郷:そうですか。
芳賀:いや、私は、あと3年かな、5年かなとかって、そういう言葉が出るのかなと。
本郷:そういうのを言わない方がいいでしょうし、決めてないです。
芳賀:決めてない。これはいいですね。
本郷:やっぱりクリエーティブってことが一番好きですから。創造力っていうんですか。
芳賀:ああ、クリエーティブですね。
本郷:だから、何か常に考えているじゃないですか。で、刺激を受けるじゃないですか。こうやってしゃべりながら、生んでいくじゃないですか。やりながら生まれてくるじゃないですか。そこから何か、出てくるじゃないですか。
芳賀:逆に先生、失礼ですが、年はお幾つになりました?
本郷:67です。
芳賀:67の年代の人に、非常に勇気を与える言葉かもしれませんね。「決めてない」っていうのは。
本郷:税理士会なんて、(67は)平均年齢ですよ。
芳賀:え、平均はそんなに上ですか。
本郷:まぁ、平均年齢なんかどうでもいいんですけれど。
芳賀:まあ、そうですね。平均は平均ですからね。
本郷:あとは、年齢もそうだけど、言っていること、やっていることがどうかってことでしょう。
芳賀:そうですよね。
本郷:昔の名前で出ていますじゃ、しょうがないでしょう。
芳賀:そうですよね。この人、ちょっと衰えたなって思われると、まずいですよね、先生。
本郷:やっぱり、新しいことがいいってことじゃないけど、その人が成長してとか、進化してなきゃ、意味がないでしょうね。
芳賀:そうですよね。いや、これは非常に、いいお言葉でした。きょうは、記念すべき私の対談の第1回目を本郷先生にお願いできました。本当にありがとうございます。
本郷:いえいえ、こちらこそありがとうございます。
(了)