所在地 | ◯◯市 |
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街路・画地 | 南側幅員14m市道に面する間口80m、奥行き50m長方形状の大規模画地 |
用途地域 | 第一種低層住居専用地域(建ぺい率:40% 容積率:80%) |
面積 | 4,100㎡ |
現況 | 平均傾斜度約15度の山林 |
路線価 | 110,000円/㎡ |
評価
(1)開発計画の概要
全体面積:4,100m²
有効宅地の面積:2,830m²
開発道路:880m²
緑地、他:390m²
全体面積に対する有効宅地化率:69%
分譲戸数:19戸
(2)開発スケジュール
(3)事業収支計画
- 造成後の標準的画地価格の査定
近隣及び類似地域の取引事例と地価公示価格等より、造成後の標準的画地(幅員6m開発道路に面する150m²の中間画地)価格を135,000円/m²と査定しました。 - 販売総額(分譲価格)の査定
各画地(19画地)の個別的要因を考慮し、販売総額を394,000,000円と査定しました。
(4)造成工事費の査定
一級建築士事務所に見積を依頼し、280,000,000円(68,300円/m²)。
(5)販売費及び一般管理費の査定
総分譲収入(販売総額)の5%と査定し、19,700,000円と求めました。
394,000,000円 × 5% =19,700,000円
(6)投下資本収益率の査定
(7)開発法を適用して求めた素地価格の査定(割戻方式による土地価格)
[ご参考]
税務上の「広大地の評価」による申告額
路線価110,000円/m² × 広大地補正率0.395 × 4,100m² = 178,000,000円
広大地補正率 = 0.6 – 0.05 × 4,100m²/1,000m² = 0.395
解説
対象地は現況急傾斜地の山林であるが、市街化区域に存し、南側14m道路に面することから、宅地開発基準等を充たせば、宅地への転換が直ちに可能であるため、熟成度の高い宅地見込地と判定しました。
従って、評価に当たっては、転換後の更地価格を求め、その価格から通常の造成工事費相当額、及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用等を価格時点に割り戻した額を控除し、さらにその額を当該宅地見込地の熟成度に応じて適正に修正し、価格を求めました。
対象地の市場参加者は戸建住宅の分譲業者と想定されますが、対象地のように地勢が悪い急傾斜地は、造成工事費が約70,000円/m²と高く、開発コストが嵩むため、開発素地の価格は低くなります。(鑑定評価額は路線価の約14%)。
対象地の場合は「税務上の広大地評価」も適用できますが、対象地のように造成工事費等の開発コストが嵩む場合は、実際の時価は「税務上の広大地評価」の価格よりも低くなる場合が多いようです。
尚、対象地は相続時点から約1年半後に、建売業者が7,000万円で取得しており、当時の鑑定評価額の妥当性が検証できました。