所在地 | ◯◯市 |
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街路・画地 | 幅員4.5m道路に間口16m面する急傾斜の不整形地 |
面積 | 1,000m² |
周囲の状況 | 企業の保養施設・別荘用建物・一般住宅が建ち並ぶ住宅地域 |
土地の利用状況 | 賃貸マンションの敷地となっているが、老朽化しているため、賃借人は1室のみ |
類型 | 貸家及びその敷地(建物取壊し最有効) |
固定資産税評価額 | 約7,000万円 |
評価
最有効使用の観点から、建物を取り壊す事が妥当と認められるため「対象地の最有効使用に基づく価格、すなわち更地としての価格」から「建物取壊し・除去・運搬費用等」を控除して求めます。
(1)標準的画地価格の査定(間口15m・奥行20mの平坦地を想定)
1m²当たり80,000円と査定しました。
(2)対象不動産の土地価格の査定
80,000円/m²×(1-0.45)(注)×1,000m²=44,000,000円
個別的要因の内訳 | 増減価率 |
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急傾斜地のため、建物の建築コスト増による減価 | -30% |
地積過大で劣る | -10% |
不整形地でやや劣る | -5% |
合計 | -45% |
[ご参考] 通常の平坦地と対象地との建築コスト比較表(単位:円/延べ建築面積)
項目 | 平坦地 | 対象地 | コスト増 |
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共通仮設 | 9,700 | 20,000 | 10,300 |
土工事 | 4,100 | 18,900 | 14,800 |
基礎躯体 | 5,600 | 19,400 | 13,800 |
合計 | 19,400 | 58,300 | 38,900 |
(財)建物物価調査会2002年4月事例データによる
対象地は急傾斜地のため、通常の平坦地に比べ仮設・土工事・躯体工事等において、延べ建築面積1m²あたり、38,900円のコスト増。
(3)建物の取壊し・除去・運搬費用等の査定
一級建築士の意見に基づき、18,000,000円と査定しました。
(4)対象不動産の価格
更地としての価格44,000,000円 – 建物取壊し費用等18,000,000円 = 26,000,000円
(5)鑑定評価額
土地:26,000,000円
建物:0円(現況建物取壊しのため、0評価)
解説
- 地勢は道路面から上りの相当な急傾斜地で、かつ地盤も悪い状態です。対象地には現在老朽マンションが建っていますが、建物を再建築する場合には宅地造成等規制法の規準に適合するように、土地の造成・建物の建築をする必要があります。
- 対象地上には築36年経過の6階建て賃貸用老朽マンションが建っていますが(1室のみ賃貸中)躯体・外観・設備・内装等の建物の老朽化が激しく、保守・管理もほとんどされていません。借家も1室のみとなっており、今後も新たな入居の可能性はありません。
前記1、2から判断し、第三者への売買を想定すると、現況のまま不動産を取得する市場参加者はいないと思われます。市場参加者は、現況建物を取壊し、新たな建物を建築することを前提として、当該不動産を取得する事が妥当であり、最も合理的であると考えられます。