【受けた恩義を忘れない】
当社も私が独立開業して満45年を迎えることが出来ました。
アプレイザルニュースにも何度か書いていますが、28歳の時に独立・開業しました。そして、常に自分の力だけでここまで来たという思い上がりは捨てるようにしています。
今までお世話になった多くの方々、家族、両親に感謝することが大事だと思っています。
まずは、不動産鑑定士の基礎を学ばせて頂いた、国栄興業の故・飯田武爾先生の元で4年間の修行時代。まだその頃の不動産鑑定書は和文タイプの時代でした。手書きの原文を和文タイピストの女性に清書してもらうのです。修正文などは大変でした。1字1字ペタペタとノリのようなもので字を取り、打ち直すのです。まさに手作りそのものの時代でした。
そして当然ですが、開業時に結婚した妻(故・由理子)の存在です。比較的裕福なサラリーマン家庭に育ち、大手商社のOLだった彼女。何の因果か、何の保証もない不動産鑑定士の女房になりました。当時は、たまたま大手不動産会社(旧:西武不動産)の、仲介物件(中古物件)の調査査定・業務を請け負う仕事がありましたので、日々の生活は何とかなるという目算はありました。
その頃は土日もなく、夜は販売図面を作成するという仕事付けの毎日でした。それでも月間売り上げはせいぜい数十万です。初年度売り上げは本鑑定が3本で合計600万円程度でした。
しかし、その時の調査業務が私の不動産鑑定士人生に大きな力をもたらしてくれました。必ずその家に入り込み、建物(全部屋を)の状況を見ます。会う相手がほとんど奥様で、世間話をします。奥様は良い査定をしてもらいたいので、25、6歳(当時の私の年齢)の若造に丁寧に応対します。その時には必ずといっていい程、奥様の出身地の話をします。「どちらから東京に来たのですか?私は北海道出身です」と話しかけると、一気に気分が和みます。ほとんどの方は故郷があります。そして必ず、「そちらはきっと良いところでしょうね」と付け加えます。
それで大人の方との会話が鍛えられ、全く苦にならなくなりました。もともと人の心を掴む素養があったかも知れませんが(笑)。
多い時には月に30件以上の物件の値付けをします。それが、物件の良し悪しを判断出来る目を養うことに役立ちました。1日の最高記録は、6件のお宅を回ったことです。
朝9時半、10時半、11時半に3件回り、12時に市役所に飛び込む。13時半、14時半、15時半に3件回り、16時に登記所に飛び込む。これだけやって売り上げは10万程度です。夜はこれらの書類作成業務です。さすがに通常は1日2~3件です。こんな生活が2年近く続きました。
これが、私の不動産鑑定士としての基本的な評価・査定の元になりました。ただし、事業としてはこれではいかんなという思いが常にありました。
独立して4年後(昭和60年頃)になり、世の中は金余り現象に伴う不動産への過度な融資というバブルな時代に突入しつつありました。 (次回に続く)

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