給与所得者、例えば年収1,000万円の人の価値はいくらでしょうか。と問われると・・・あまり考えて来なかったというのが実態です。
人に生涯価値(値段)を付けると言うのは何ですが(不謹慎か)、面白い切り口だと思い、あえて挑戦しようと思い立った次第。人の価値に上下は無いとなどと言うなかれ、やはり「有る」といった方が正直なところでしょう。もちろん、45歳の人と63歳になろうとする私では年齢的格差をどう捉えるかが問題です。このことは後述するとします。
とはいえ、人の価値を計るのに何を基準とするかが問題です。現在の収益性が最も分かりやすいのでは(そうすると、稼いでいない主婦や子供は無価値?などと野暮なことは置いておく)。
一番比較し易いのは不動産です。不動産であれば収益物件の価値(価格)を日常的に弾いている私にとってそれほど難しいことではありません。
仮に年間収入1,200万円(月額100万円)の賃料を稼ぐ賃貸マンション(練馬区内、鉄骨3階建て、築10年)を例にとります。極めて単純に計算すると、
土地・建物合計の収益価格は
- 1,200万円 × 0.8÷0.065 = 14,800万円 となります。
- (0.8は経費率、0.065は総合還元利回り)
これが不動産の価値 = 価格といっても差し支えありません。
この価格をつける前提としては少なくともあと20年程度は家賃を稼いでもらうということがあります(多少の修繕費などを織り込んでいますが)。
では、年収1,100万円(但し、手取り800万円とする)の45歳の人の価値(比較的高年収の人を想定します)というのはいくらでしょうか。
不動産と同じように収益性から価格を考えてみます。前提として1,100万円の年収が20年間は変動がないものとして、年利1%で運用した場合の現在価値はいくらかになるかです。
- 800万円 × 18.045 = 14,400万円
- (複利年金現価率)
これに退職金が1,000万円出るとすると、これの現在価値は
- 1,000万円 × 0.8195 = 820万円
- (複利現価率 割引率1%)
合計 15,520万円
なんと、不動産の価値と同レベルになるではありませんか!
人を不動産と同じにするとは何事だ、などと言わないで下さい。不動産は人とは違い、毎日毎日文句も言わずに家賃を稼いでくれます。しかし、これからの20年間は空室リスクと家賃下落リスクとの闘いの日々です。決して安穏としてはいられません。
人も同じです。今は年収1,100万円だからと言って保証された人生などあり得ません。健康を維持して、努力・勤勉・向上心は元より人としての優しさや信頼性が大きくものをいう時代です(これは昔も今も変わらないはず)。価値を保つのは自分です(但し評価するのは他人)。もちろん人の価値を全てお金に換算することは危険であります。お金に変えられない職種や生き方もあります。働きたくても働けない人々を思いやる度量も必要です。
では、人生残り少ない63歳になる私の年収はさすがにここでは披瀝できませんが、仮にAさん(中小企業の社長)63歳ですが、2,000万円 + 生命保険料 = 3,000万円とします(決して私の年収ではありませんよ、念のため)。残り何年現役で働けるのだろうか・・・が問題です。
仮に5年とします(計算方法は先と同様)。
さらに退職金は1億円(保険料を充当)とします。
- 1,500万円 × 4.85 + 1億円 × 0.9514 = 16,789万円
- (手取り) (複利年金現価率) (複利現価率)
さすがに中小企業の社長の価値は45歳社員よりも多くなりました。
しかし、社長の立場ほど危ういものはありません。いつどうなるか、一寸先は闇なのですから。不動産の空室リスクなど「屁」(尾籠ですみません)のようなものです。
※これは芳賀の個人的見解です。適当に読んでいただければ幸いです。