世に言われる団塊の世代(昭和22年~24年とその前後)の年齢はおおよそ70~73歳になります。まさに高齢者のど真ん中です。その数は全国に1,000万人以上といわれています。これらの多くの人々は、地方出身者であり東京・大阪・名古屋等の大都市圏で職を得て、結婚しマイホームを買いました。今から35年~40年前のことです。子供の数は平均して2人程度です。子供が独立し(していない家庭もあるが)、夫婦二人の老後を安穏と過ごすことが最後の望みかもしれません。しかし、多くの家庭の悩みは、35~40年前に購入した住宅はさすがにその古さからリフォームの必要性が出てきます。現在とは違い、浴室や台所の水回り、バリアフリー等の設備がまるで違います。

Aさんは都内の住宅地から日本橋の会社まで、約1時間かけて通勤する真面目一筋なサラリーマンです。30歳で結婚し、二人の子供を大学まで出しました。まさに絵に描いたような成功したサラリーマンの典型例です。

都内住宅地に200㎡の土地に床面積110㎡の一戸建てに住んでいます。昭和55年建築なのでおおよそ40年になります。奥様は67歳、すこぶる元気で水泳教室と華道教室で人生を謳歌しているといっても過言ではありません。

65歳には役職定年となり、いったん退職しましたが、社長の信任が厚く顧問で残りました。しかし、70歳になったのをきっかけに48年間務めた会社を完全に退職しました。勤めた会社は上場会社で、かつ役員まで務めたので、退職金や株式など手元に1億円ほどあります。自宅のローンも終わり、身体にも不調はなく、年金も月額25万円ほどあり、株式配当や運用益を合わせると年間500万円程度の収入があります。贅沢さえしなければ悠々自適な生活を送ることが出来ます。すべての人がそうであるように、この間様々なことがありましたが、むしろ辛いことや悲しいことが過ぎてみれば良い思い出に転化します(何故か良い思い出はそれほど記憶には残りません。つまり、良い思い出というのは「慣れ」が生じて新たな刺激的な良いことがないと忘れ去られるのでしょうか)。

5年前には長女(35歳)が結婚し、二人の孫(2歳と4歳)にも恵まれました。長女の主人(40歳)も都内の会社に勤めるサラリーマンです。この5年間は両親の自宅から車で20分ほど離れている場所に2DKの賃貸マンション(家賃16万円)に住んでいます。

次女は現在35歳になりましたがいまだに独身です。大手外資系の金融機関に勤めており、独立心が旺盛で、両親の家には住まず都心のワンルームマンション(家賃9万円)を借りて一人住まいです。そんな折に長女から両親に同居の話が持ち込まれました。

「ねえ、パパ・ママ・・・」

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