所在地 | ◯◯市 |
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街路・画地 | 公図上は道路(赤道)が記載されているが、現況はほとんど見分けがつかない。 完全な山であり、木は雑木で林業経営は成立しない土地。 |
用途地域 | 市街化調整区域 |
面積 | 7,000m² |
周囲の状況 | ○○駅から約4km |
固定資産税評価額 | 250,000円 |
相続税の倍率 | 300倍 |
評価
(1)最有効使用の判定
現状のまま山林として推移するものと判定
(2)標準的画地価格の査定
幅員3m道路に敷地規模1,000m²の中間画地を想定しました。
比準価格:1,500円/m²
規準価格:1,300円/m²
以上より、標準的画地価格を1,500円/m²と査定しました。
(3)評価
1,500円/m²×(1-0.3)(注)×7000m²=7,350,000円
個別的要因の内訳 | 増減価率 |
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道路に面さない | -20% |
面積やや大で劣る | -10% |
合計 | -30% |
その他
倍率方式の矛盾がはっきりと出る案件です。このような山はほとんど市場性がありません。「市場性」というのは、売りに出して売れる可能性があるかどうかという鑑定用語です。普通の土地は売れない場合、値を下げれば買い主が現れるものです。しかし、市街化調整区域の山林は有効利用をしようにも出来ないのが実態です。林業経営も全く成立しないとのことです。そのような土地に価格が発生するのかという議論さえあります。そのために、当該固定資産税評価額は250,000円しかついていません。むしろ時価としてはこれが妥当なのかもしれません。
解説
対象不動産は全体が山林状の土地です。面積は山にしては、7,000m²とそれほど大きくはありませんが、それでも単価の捉え方によっては総額が大きく変わります。
林地の評価での注意点は、いかに類似性の強い事例を収集できるかにかかっています。それも事情のないものに限ります。取引があったとしても公共団体の用地買収や宗教法人の墓地用地などは開発を前提とした価格で取り引きされますので、総じて割高です。それを鵜呑みにして、対象不動産と比較すると適正な価格から離れる可能性が高くなります。