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[スタッフブログ]斎藤紀明が斬る!

これからどうなる?印鑑大国ニッポン2016.06.07

戦国武将のサインとして知られる「花押(かおう)」を、遺言書に必要な「押印」と認めるかどうかについて裁判で争われている事件について、「花押は押印とは認められない」という最高裁の判断が示されて遺言書が無効とされた、というニュースが話題になっています。

新聞記事によりますと、最高裁は「重要な文書は署名し、押印することで完結させる慣行がわが国にはある」とした上で、「花押を書く習慣はなく、印章による押印と同視することはできない」と指摘し、「花押を押印と認めた」1、2審判決を破棄し、福岡高裁に審理を差し戻す判決を言い渡しました。

この遺言書は、琉球王国の名家の末裔(まつえい)にあたる沖縄県の男性が2003年に85歳で作成したもので、「家督や財産は次男に継承させる」との内容で、署名の後に花押を記していたものです。

花押というものは、元々は手書きで書くものであり、鎌倉時代に武士による文書が増加して「文書の真偽を判定する場合」に花押を照合することでその文書が真正なものかどうかを判定したことから広く普及しました。そして戦国時代には花押の様式が多様化するとともに、手書きではなく版刻した花押が広く使用されるようになり、さらに家督を継いだ子が父の花押を引き継ぐ例など「相続」とも深く関わりがあるものでした。このことから、江戸時代には花押が印章と同じように用いられていたのです。

明治政府は原則として「印鑑」による押印を進めましたが、花押にも署名としての効力があるとして、花押を押印の一種として認めるべきという見解もありました。

このことから、閣議における閣僚署名は現在でも花押で行うことが慣習となっており、閣僚就任とともに花押を用意するケースが多いとのことです。

このような花押の歴史的な経緯から注目されていた裁判ですが、最高裁判断が示されたことにより、今後は花押を遺言書に用いることは実務上困難になったといえます。

しかし一方でこんなニュースもありました。りそな銀行では3年後(2019年)をめどに、主要な業務での印鑑の利用を原則的に撤廃すると公表したのです。口座の開設、住所変更、住宅ローン契約などの手続きで印鑑を押す必要がなくなるということです。印鑑の代わりにICチップ付きのキャッシュカードや指の静脈を利用した個人の認証を行い、電子的なサインも併せて活用する予定とのことで、銀行窓口での手続きは大幅に簡略化され、通帳やキャッシュカードの交付もスピーディに迅速化されることになるようです。当然、競争や事務効率化の観点から、メガバンクを始めとする他行でも導入が進むことでしょう。

これまでの日本は、世界でも稀に見る「印鑑文化」を維持発展させてきた国で、海外から来日するビジネスマンがあらゆる書類に印鑑が利用されていることに驚くと言われていました。「有印公文書偽造」「有印私文書偽造」といった犯罪も、「印鑑大国」なればこそと言えましょう。しかし、銀行が「印鑑不要」になれば、役所などの公共機関や企業でも「印鑑レス社会」が急速に進展するものと予測されています。

このことから、遺言などの「押印」を含む日本の印鑑文化がどのように変わっていくのか、今後の動向に注目したいところです。

東京アプレイザル物語

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