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[月いちコラム]芳賀則人の言いたい放題!

No.283【不動産投資の現状を考える】2019.04.01

新築アパート・マンションを建てるのは買い物(入口)の概念 売りを考えるのが出口戦略の概念 その関係性について

リーマンショック後の不動産投資家の類型を分析すると

1.地主・富裕層投資家(自分たちが投資家・経営者であることの意識が薄い)

不動産投資の地域柄を考えると下記のようなイメージになります

①   山手線から20km程度の東京近郊型地域(環状8号線付近)

②       〃    20km~40km程度の郊外型地域(国道16号線付近)

③   三大都市圏以外の中都市圏の都市型地域

④       〃    以遠の郊外・田園型地域

どちらかというと人任せ投資家です。何故なら地主の土地は先祖から相続したもので日本経済が成長した恩恵を受けたことで価格が高騰しました。よって土地仕入れ価格がほぼゼロです。このためアパート、マンションを建てても投資という概念がほとんどありません。しかし、一般の投資家(地主以外の)はそんな恩恵は全くなく、当然のことながら土地代+建物代=仕入れ価格になります。これは100m競争において地主階級のスタートラインは一般の人とは違い50m先にあるようなものです。これでは一般投資家は金メダリストのボルトでさえ負けるに決まっています。

だから、地主のアパート建築計画はハウスメーカーによる、家賃が10年間変わらないだとか、右肩上がりだとか、を提示されても不思議に思わず、大甘になるのです(まあ、建築会社のいいカモになります)。しかし、気の毒なことに、地主階級には決定的なハンデがあります。アパート建築する場合土地(物件)をどこにするかを選択することが出来ません。その決まった先祖伝来の地べたにアパートを建築するしかないのです。地縛霊とは言っては失礼かな。地元からは絶対離れられない悲しい運命です。なので、レオパレスや〇×建託やその他ハウスメーカーのターゲットになりやすいのです。逃げ隠れ出来ないので。

ここで今、問題になっているレオパレスのような業者に引っかかると大変な問題になります。業者もいろいろありますが、ここまで酷くはありません。この欠陥建築は投資という観点からは相当怪しいと言わざるを得ません。つまり論外というしかありません。

とはいえ、他のハウスメーカーも似たりよったりです。家賃保証(ではない入居保証)の名のもとに30年間の家賃は心配ありませんとのことですが、多分あちこちで綻びが出ているのではないでしょうか。

しかし、投資の世界にこんなことはつきものです。リスクの引換が家賃収入だからです。ある意味きったはった(相場)の世界です。

私は管理業務を主にしているわけでないので部分的な事しか分かりませんが、現在関与している山梨県某市の築30年木造2階建てアパート(全戸数18戸)は満室稼働を維持しています。家賃は2DKで平均45,000円。これは地元の管理会社が非常に良くやってくれている物件です。

この物件のオーナーさんは東京在住の92歳です。若い頃に事業で稼いだお金で何故かこの地に土地を買い、某ハウスメーカーでアパートを建てたそうです。このアパートの良いところは、圧倒的に家賃が安いことです。それと借金がないことです。

空室が発生しても、それほど苦労なく次の入居者が入ります。地元業者に完全にお任せですが、こんな運のよい人もたまにはいるものです。あまり欲をかかずに家賃の減額にもある程度応じており、元は完全にとっています。

しかし、全てのアパートオーナーにいえることですが、建物築年数と自分の年齢がかなり高い人々が多いのが今後の課題です。建物は築年数が25年を超えるとあちこちに老朽化が目立ってきます。つまり修理・修繕費との戦いです。それと相続問題です。

ところが、出口戦略がないままにやってきた人がほとんどなので、これらの後始末をどう付けるのか、相続人がその尻ぬぐいをさせられるのです。

2.高額所得者(士業・医師・芸能人等)や会社経営で成功した投資家

これらに属する人々はそれなりのビジネス感覚や事業で培った経営能力を生かして、不動産投資に参入しています。当然、地主層と違って土地+建物代を負担しますので、利回りを重視した投資行動が必須です。収益価格の概念を知らなければ、あっという間に損をします。今は(この10年位)金利が歴史的低金利でゼロに近い分だけ投資には適した時代でしたが、逆に言えば金利が低い分だけ物件の価格が高騰した時代でもあるのです。東京都心部では表面利回り3%などという物件さえあります。もちろん金融機関の協力なくして購入することはできません。

この5年ほど前から投資ブームになったことはご存知の通りで、いかに銀行から金を引っ張るかが仲介業者の腕だとも言われました。しかし、さすがに昨年のカボチャの馬車やTATERUの問題以来、融資環境が厳しくなっています。とはいえ、本業がしっかり稼いでいれば、金融機関もまだ積極的に貸すようです。また、これらの人々は地主と違いそれなりに目利きができます。出口も考えています。なので、過大な債務を負っていない限り一定の利益を得てさっさと逃げている可能性もあります。もちろん、所有し続けて家賃をしっかりと稼いでいる人も多くいます。

3.サラリーマン投資家

年収500万円程度で、頭金がなくてもアパート・マンション投資ができますという触れ込みで投資ブームが起きました。投資ノウハウを謳った様々な書籍も出版されました。一物件ごとに一つの法人を作って金融機関からめいっぱい融資を引き出すという、私のような昭和バブルで一度やられた者から見ると、とても怖くて手を出せませんでした。あの頃(昭和60~平成2年まで)はプロがこぞってやられました。自殺者も何人もいたようです。それ以来「羹に懲りて膾を吹く」という格言通り不動産投資からは距離をおいてしまいました。人様の物件の鑑定評価をコツコツとやっている状況です。なので、儲けの世界からはかなり遅れをとったことも事実です。もちろん、サラリーマン投資家でもすごい人々がいます。数十億の資産を築いた人もいます。しかし、世の中それほど甘くはありません。私の持論ですが。

年収2,000万円以下の人はマンション投資はいかがなものかと思っています。2,000万円でも手取りが1,300万円程度です。個人年金用に将来に備えてという言葉もありますが、コツコツ貯めているほうが良いような気がします。不動産投資の前に自分のスキルを上げて給料を上げる努力が先です。今、1,000万円の人は1,500万円を目指すことです。もちろん手持ち現金が5,000万円あって1億円の物件を買うのであれば全然問題ありせん。これは40年間不動産業界にいた不動産鑑定士の経験に基づいた、あくまでも個人的な意見です。

 

 

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